迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

SNSの功罪、就活時の守秘義務の話。

先週、Twitter上で笠松競馬場公式垢が、今春採用予定者に対して、所謂“公開処刑”をやった件について、一部のエンドユーザーから“大人気ない行為”という批判が相次いだ様なんだが、率直な意見としては、突発的な大阪の“カルテット選挙”以上にどうでもいい話であり、さりとて、犯罪抑止力…特に、公営競技を行う団体職員になる者が、守秘義務を守れないなら然るべき処分を行うという“宣戦布告”は、とても重要な話であり、いかなる就職活動において、SNSで拡散すべき話とそうでない事の分別を付けるべきと指摘することは、指導の範囲としては適正というべきである。


所謂“バカッターテロ”の多くは、基本としてテレビやネット動画CMの影響によるモノであり、昨今のテレビCMでも、画面上の隅に小さく“映像上の演出”という断り書きが表示されている。しかし…大概の人、特に18歳未満の青少年には通じない話で、故に、実際の現場で“やってみよう”ってなるのである。子供のいじめ問題でもそうなんだが、格闘技系スポーツの真似事の多くは、手加減をしてる事実を知らずに子供はやるモンだから、それが“命に関わる危険行為”って認識はゼロである。ゆえに、被害児童がどんなに“痛い”と言って訴えても、加害児童は知ったこっちゃない訳であり、それによる負傷が因で身体に障害が残ろうが、死亡しようが“知らない”って訳である。つまり、自分以外の感情を読む経験が乏しいまま成長すると、結果としてモラルそのものが欠如した状態になる訳で、昨今問題になってる、いわゆる“モラ夫”にある背景と一緒で、、人付き合いの煩雑さから、学校以外のどこかで学ぶべき礼儀作法…形骸化したしきたりや風習ではなく、相手を想うための所作や、宗教哲学や概念に基づいた行動のイロハを、しかも基礎のマニュアルすら、誰も作ってこなかったことや、形式や風習に捉われないという概念自体を履き違えてる事を、誰一人として指摘しないまま今日に至ってるから、いわゆる“バカッターテロ”という、常識外れな悪戯が後を絶たないのです。


公開処刑”というには、むしろ、なんでそういう事態になったのかを時系列でで考えると、高校や大学で成績が優秀といっても、それは単に勉強の仕方や問題の解き方に関して、学校や教師の“思い通り”に答えを導き出す媒体としての価値であって、そこに頭脳が全振りした結果、要は社会常識が欠如する訳で、そういう“学校内最強”な者にとって、“恥を掻く”という概念自体が“面白い刺激”であり、それがいかなる生涯計画を台無しにする行為になるか、想像が至らない訳である。だから、一見すると公衆の面前で説教される事自体、説教する側も大人気無いのだが、そうならざる得ない態度を招いた背景にも、礼節や社会的常識といった知識を、学校教育に丸投げした結果である。何度もいうが、社会的常識を学校以外の世界観を知らん新卒者に求めることが既に間違いであり、大学卒業までに、学校以外で社会に触れる機会を、しかも様々なトコで作らないといけなかったのに、“学業優先”で放置した結果である。そういう意味では、中卒でも起業して年収何億も稼ぐ人は、社会の仕組みをいち早く見抜き、恥を掻くことと世話(迷惑)をかける本意を理解し、それに似会った礼節や所作を身につけ、そこから“人の上に立つ者”としての自覚が持てるのであり、そこに集う人は、世代も人種も、当然宗教や価値観すら超越するのであり、組織も磐石である…故に守るべき礼節やマナーがある訳で、それが守れずにいる人は、自然と組織から離れるのである…いくら頭脳明晰でも、巨万の富を持っていようと関係なく、である。

話が逸れまくったんで、元の話に戻せば、バカッターテロを予告した内定者は、自分が採用された職場が、どういうポジションの職場なのかを理解してない以前に、恐らくは学校以外の世界を知らんまま就活をやってたと思われる。忘れてはいかんが、SNSを含めたインターネット媒体ってのは、言語が日本語表記でも、世界中に恥を撒き散らす場である…それは、時として、トンデモ発言が世界中で拡散されて誤解や偏見を招いても、それを解く事自体が困難になる事を意味する。それすら“面白い”って思うのは、恐れ知らずであると同時に、一度でも恐怖を味わえば、二度と立ち直れない程傷付くことになる。それで命を落としたら、それこそ自業自得ではないか。




AMラジオ廃止で騒ぐ前に…

ぶっちゃけ、競馬そのものとはあんま関係ない話なんだが、先日、民放連が総務省に、AMラジオ廃止を提案したというニュースが流れて、一部のラジオファンが大騒ぎしてた様なんだが、誤解や偏見がある様なんで、この場を借りて、競馬場内でのラジオ番組サイマルFM放送をやっているかって話を交えながらやっていこうと思う。案外知られてない話だが、オイラが競馬を始めた頃(30年近く前)には、それこそ場内のみで聞けるFM放送局が東西主場(中山・東京・京都・阪神)にあって、開催時はガチな話、音楽好きの競馬ファンからリクエストを受け付けて、レース前とかに流してた訳である。ま、オイラと同世代で競馬場によく行ってたなら、“TSS”って略称を知ってる人も多いかと…w

それはさておき、地域限定のラジオ局を作るのに、なんでFMが多いのかと言えば、実は、AMラジオに比べると、大掛かりな放送設備を要さないのが特徴で、トランスミッターとマイクがあれば、ぶっちゃけ何処でも“開局”できるからである。もっと言えば、非営利で、且つ、敷地内や建物の一部といった格好での小規模出力(確か1100W未満)であれば、総務省から発行する無線取扱免許(この場合は。いわゆる、営利目的の放送免許)の取得は不要であり、流す放送内容も、事情が事情(通常のAMラジオでは受信障害が出る等)ならば、サイマル放送も認められてる訳である。つまり、昨今のワイドFM化の流れと一緒で、目的としてはスタンド内や敷地内でのラジオ受信困難エリアの解消を目指してやってる訳で、、違いがあるなら、あくまで競馬場およびウインズ館内限定で、実際のラジオ放送をFMトランスミッター経由でのサイマル放送をやっている訳である。

で、なんで場内FMをやってたかと言えば、これに関しては、まさに今のJRAのキャンペーンである“HOT HOLIDAYS”よろしくな話で、元々は若年層の競馬ファンに、もっと競馬を気軽な感じで楽しんでもらおうといいう主旨があって、それゆえにノリとしては、既存のFMラジオ局よろしくな状態で放送してたって訳である…が、当時はそもそも、若年層のファンの方がレアでコアな分類であって、スタジオでガチャガチャやってても、集うのは大概、昼休みに専門紙の記者が登場してメインレースの予想を公表するのを待ってる、ヘヴィな鉄火場オヤジばっかだった…TSS(ターフサウンドステーション)と名称変更しても同じで、結局、グリーンチャンネル開局以降、数年して廃止となった訳である。ただ…今でもFMサイマル放送が続いてるのは、スマホ経由でradikoを利用する人よりも、ポケットラジオで競馬中継を聴く人の方が多いからであり、その方がパケ死にせずに済むからだw

冗談はさておき、AMラジオやラジニケの短波放送ってのは、実は受信機は単純構造でも、送信技術に関しては、素人にはとても手が出ないほど大掛かりなモノで、FMラジオ…マニアックな言い方をすると“超短波帯放送”と比べて、送信時に電力のバカ喰いをするという欠点がある。ラジオのプロとも言える人でも勘違いしてる人が多いが、AM(中波)ラジオは、首都圏広域放送で出力100kWで、昼間はどうにか関東地方ほぼ全域で聞けるんだが、これが夜だと、手動で周波数を合わせられる、昔ながらのラジオ受信機だと、ほぼ日本中をカバーできるとされている。(但し、大概は北朝鮮かロシアの電波に邪魔されるけどw)短波放送の場合は50kWで、昼夜問わずに日本中をサービスエリア圏内としてる訳だが、海外の短波放送との混信を避けるために、3つの電波帯で放送してた訳だが、去年から原則として6Mhz帯のみでの放送に切り替えたのは、表向きの話として、3Mhz帯と9Mhz帯での放送は海外短波局との混信が激しいということになってるが、太陽の黒点運動の影響も受けやすい上に、3つの電波帯で放送を維持すること自体が、経営コスト的に重荷になってるトコがあっての話でもある。しかも、送信所の位置や地球の自転運動の影響で、電波の多くは西に飛ぶ習性があって、それが因で海外で受信障害を起こしかねないトコがある。CRKラジオ関西の送信アンテナが指向性を持っているのもそういう事情で、フィリッピンでのAMラジオの受信障害(実は同じ周波数のラジオ局がある)の関係で、送信用とプラスして、西に電波が飛ばない様に阻害する(強制的に電波を東側へ増幅させる)アンテナがある。この送信アンテナ…通常は巨大なポール型アンテナ(三点ワイヤー支持式が主流)を設置するには、平坦で広大な敷地を必要とするため、放送局が支払う固定資産税がバカにならないのである。(CRKのは、自立タワー式で別バナだが…)翻ってFMラジオの場合、電波の出力が広域放送でもせいぜい10kWで、大概は山間部でも谷間を縫う様に通り抜ける性質があって、小型のアンテナでも充分に電波を飛ばせる上に、現状では余程でない限りは放送局同士での混信も少ない…とあって、更にテレビが地デジ化によってVHFローバンドが空白になったことを受け、“ワイドFM”として運用しとけば、今までテレビの送信所として使ってた施設が、丸々再利用できるって訳である。

つまり、今後日本の既存AMラジオ局が生き残るためには、本家でも指摘した通り、radiko経由でのWebラジオに移行するか、ワイドFMへの移管は時間の問題であって、諸外国…特に欧州では既に、AMラジオそのものは絶滅危惧に近い。(いや、根絶してたかも…)当然だが、JRAの施設でもフリーWiFiの整備が整い、スマデバ経由でradikoでラジニケを聴く人が増えれば、FMサイマルが廃止になるのも時間の問題であり、それは一つの“ラジオの歴史”の転換期になる話である。



とは言え、現段階ではあくまで、総務相に対して“意見”を民放連が挙げただけであり、また、radikoの利用者が爆発的に増えてる訳でもないんで、当面、AMラジオが廃止に伴っての停波することは無い。だが、これは時代の流れであり、緊急時のおいてアナログ的なAMラジオの優位性は、現状では失われてはいない…しかし、去年の台風被害や24年前の阪神淡路大震災の様な状況になれば、旧態依然な設備のままでは、確実に放送ができなくなる可能性がある。その復旧にかかる費用を踏まえれば、必然的に究極の選択を迫られているのは、リスナー以上に放送局自身であることを理解してほしい。






あんなトコでも70年も競馬やってるんですよ…な話。

先週の補足ですw 今回は中野アナが話題に挙げたことに対して、競馬場としては“異例”な立地条件であることを解説していないと思い、そこんトコを踏まえた上での話を展開しようという訳である。

そもそも、なんで“阪神”競馬場かと言えば、もともとは現在の鳴尾浜周辺(てか、武庫川女子大の敷地)にあった鳴尾競馬場の“代替地”であり、本来であれば、今よりももっと北の逆瀬川付近に移設する予定が、諸般の事情で頓挫したのをきっかけに、現在の西宮市と宝塚市の境目付近になるあの場所にできた訳です。つまり、元は阪神電車沿線の競馬場だったのが、戦時下以降のドタバタを期に阪急沿線に引っ越した訳であり、その際に競馬場として開発するにあたって、当初の予定地への移設が困難となった事を受けて、仮設置がそのまま永続的な存在になった訳です。

で、なんでスタンドが北向きかというと、これは地形的なモノの関係でこうなった訳で、24年前の阪神大震災で、コレが幸いすることになるとは、誰も予想できなかった部分と言える訳です…てのも、実は駅名にもなっている競馬場のすぐ近くを流れてる武庫川水系の一つである仁川がクセモノで、ある意味、ここを境に西宮側がエラい事になった訳で、仮に南向きにコースやスタンドが造られていたら、復旧までにもっと時間を要してた可能性があった訳です…てのも、この仁川、普段は地表には殆ど水の流れを見せない川でして、地下水脈化してる状態なモンだから、周囲の地盤は意外と緩い。特に西宮側は震災時、多くの箇所で液状化による地滑りや陥没が発生し、それプラスで高度成長期に急ピッチで建造した建物が崩壊したため、神戸ほどでなくても甚大な被害が出て、復旧までに時間を要した訳である。現在のスタンドは震災前に建て替えた際に耐震性を高めたモノにしてたため、内装に被害はあっても、大したことはなかったんだが、現在の芝内側コースの3〜4コーナー付近に、地下水脈の影響を受け、仁川寄りに引っ張られる格好で亀裂が入った…さっきも言ったが、もしも南向きであったら、バックストレッチにあたる部分が崩落してた可能性もあったというのは、この震災によって判明した事であり、むしろ、先人達の先見の明に恐れ入った次第であるとも言える。


さっきも記載したが、もともと鳴尾浜にあった競馬場が現在地に引っ越すきっかけは戦後処理が関わる話であり、現在の沖縄の問題や、横浜根岸競馬記念公園の一部が今でも在日米軍所有地である事につながってる話である…ってのも、終戦後に鳴尾浜一帯も接収されたためであり、移転先候補地だった逆瀬川付近には、戦時下に廃止になったゴルフ場があってコレがのちに阪神競馬場の内馬場にショートコースのゴルフ場が設置される事になる訳で、故に、競馬非開催時は会員制のゴルフ場として運営してた歴史がある。今でこそターフビジョン更新工事の前にゴルフ場の運営そのものが廃止になったのと、中山や府中に比べて狭い事から馬場内でボール遊び等をしたら開催に支障が出るということもあって、通常では入れなくなったものの、今でもその名残はいたるところに存在する。ま、ゴルフ場として運営してた時の笑い話に、馬場内から飛び出して障害やダートコースにボールが落ちた時点で“ロストボール”扱いになるというローカルルールがあって、競馬開催前の馬場整備をやってると、タマに芝コースでゴルフボールが見つかる事があったというw(ま、特殊なショートコースでしたから…)

他の競馬場にない特徴といえば、実は交通の便が“非常に悪い”ってのも挙げられる…一見すると仁川駅直結の地下通路があって便利そうに見えるが、逆を言えば、それが一番のネックとも言える訳で、正直、公共交通機関による移動は、阪急今津線一択しかなく、また、周辺道路も地図上じゃ抜け道や迂回路がありそうに思えても、実質的には県道337号線(中津浜線)以外は競馬場に繋がっていない…故に、マイカーで行くにも渋滞必至だし、阪急以外の公共交通機関は存在しないという劣悪な環境である。特に桜花賞宝塚記念開催時は、完全に交通事情がパンクするのはお約束であり、仁川駅周辺を避けてクルマを停めても、これからセンバツで賑わう甲子園付近も同様の状況になるため、西宮市内の駐車場…特に阪神と阪急が交差する今津駅やその周辺の駅前駐車場がパンク寸前になるのは毎度の話である。(特に大阪杯センバツの好カードが重なると、どっちでも地獄見んぞ…いや冗談抜きでw)

ま、散々disってみたものの、それでもここが西日本の主場の一つとして機能してる最大の理由は、メインターゲットとなる阪神間競馬ファンにとって、手軽に行ける中央競馬の馬場であることが大きい訳であり、また、大阪杯桜花賞の時は、関西…というより兵庫県下における“桜の名所”としても知られる場でもあるからこそである。ちなみに、園田競馬場もそうなんだが、実は競馬場内の売店の一部は阪急系列の子会社が売店経営を担ってることもあり、開催時に阪急ホテルグループのレストランが出張販売を行うのは、そういった経緯が背景にあるのと、阪急沿線の施設だからこその“運営方針”ってヤツである。言ってみれば、“小林一三イズム”は、ここでも健在なのである…w


オジュウチョウサンから見る、経済効果にまつわる話。




この写真は、先週の阪神スプリングジャンプのレース終盤、ジャンプの“絶対王者オジュウチョウサンが、終始先行してたタイセイドリームを交わして突き抜ける瞬間である。(ええ、現地まで行って、手持ちのiPhone8で撮影し、画像縮尺のために、フォトショでトリミング処理しましたよw)土曜の8レース目とあって、入場者数こそ15000人程度でしたが、このレースだけで、前年比の1.5倍の10億近い売上があったそうで、レース後はターフィーショップのオジュウチョウサングッズ特設コーナーが、黒山の人集りになってたのはお察しの通りw

さて、ここからが本題…20年ほど前に杉本アナが、自身のラジオ番組で話してたこととして、競馬が一番盛り上がるのは、主役となるモノがその場にいて、期待通りの結果になることが絶対条件だと持論を展開してたが、まさしくその通りである…但し、そのためには、必要最低限の“話題性”が不可欠であり、本来、オジュウチョウサンが本当に“話題性ある存在”であるなら、当日の阪神競馬場は、もっと混み合ってないと“おかしい”のであって、オイラからすれば入場人員が2万人を超えていない時点で“普段の土曜日”にしか思えなかった訳であり、これが中山グランドジャンプ当日の中山競馬場で、かつ、オジュウチョウサンのライバルであるアップトゥデイトニホンピロバロン等の有力どころが集結してたなら、土曜日であっても入場人員は通常より2〜3倍は見込める。今回は“ホーム”ともいえるジャンプレースで、しかもめぼしい“相手”もいないことを踏まえると、“話題性”がイマイチながらも、そこそこの経済効果があったことはいうまでもない。むしろ、去年の福島で、久々の平地出走となった開成山特別が“異常”だった訳であり、当然だが、鞍上がジャンプの相棒である石神深一騎手ではなく、武豊騎手だった事も含まれた結果である…

つまり、“話題性”という部分では、単に“久々のジャンプ”だけでは乏しい訳であり、また、舞台が阪神競馬場だったという時点で、キャパ的にはスカスカ感があったのは仕方ない部分であり、しかし、馬券の売上やグッズ販売が盛況なことを踏まえると、そこそこ“集客力がある存在”として見做しても憚りはないということになる。逆を言えば、いくら主催者が盛大に広告を打ったとしても、ファンが興醒めしてると意味がないのであって、どういう魅力があるかを見極めた上での広報活動が重要な訳である。

したがって、写真撮影や実際のレースっぷりを生鑑賞したいのであれば、こういう日を狙って行くのが“通の嗜み”と踏まえた上で、単に盛り上がるであろうGⅠレースのみに執着するのは、ある意味で“祭競馬”を楽しんでるのと同じだと考えて良いかと思う。もちろん、競馬の楽しみ方として、話題に乗るのも一つの方法だし、批判する必要もない…ただ、本当に話題性があるという理由のみで行ったとしても“楽しい”とは限らないし、別の楽しみを見つけられると、興味はそっちに向くだけで、それがいいかどうかってのは、現場に訪れた人それぞれの判断だ。オジュウチョウサンに限らず、藤田菜七子騎手や、場内イベントに登場するゲストの知名度や人気によっても、そこの部分は変化するが、その先…すなわち“病的競馬ファン”になるか否かは別の話である。ま、ギャンブル依存症になる人の多くは、本家でも散々解説したが、勝ち負けではなく、単に“生きる意味”を求めるうちに迷った姿であって、堕落してる事が“ラク”だから沼ってるだけで、本質的にギャンブル(勝負事)そのものには“飽きてる”訳で…



競馬を愛する語り部達…vol.30:屋根裏の桜吹雪・板倉俊彦

3年ぶりっすか、このネタやるの…w きっかけはともあれ、様々な競馬実況経験者を取り上げてるこのシリーズ、まさかこの人を紹介する日が来るとは思いませんでした。MBSクラスタ…特に“あどラン”を知ってる人ならともかく、そうじゃない人にとっちゃ“誰だよ?”って感じかもしれませんが、彼もまた、競馬実況をやってたんですね。惜しむなら、もう少し早めに紹介すべきでした…まさか、とあるラジオ番組で、同期の青木和雄アナから訃報を聞くとは思いませんでした。そして、それは蜂谷アナに関わる話にも繋がる、重要な存在でした。

蜂谷アナがMBSに入社する前年、青木アナや角淳一アナと同期で入社し、本来ならスポーツ実況を志願してた様なんですが、あまりに低音で、他のスポーツ実況をやるには、聞き取り辛い声質だった事もあって、結果的に競馬以外での実況は、早々に見切られた訳である。また、青木アナや角アナと違って、特徴的なモノがない事も災いし、正直、使い所が難しい存在だった。ただ…3人の中では正確に原稿を読みこなすことに特化したトコがあって、ゆえに基本は顔出しを必要としないナレーションやラジオでのニュース担当を請け負っていた。

若手時代にはそれでも、競馬実況のマイクの前に座った経験がある…蜂谷アナがデビューする以前、今ほど競馬が毎週重賞がある訳じゃなく、単発での放送がデフォだった頃に、双眼鏡を構え実況に臨んでいるのである。ちなみに、MBSが現在のように毎週競馬中継を行う様になったのは、蜂谷アナが正式に競馬実況専門となって以降の話であり、それまでは現在でいうトコのGⅠ開催での単発が普通の放送形態だった。(だからこそ、ラジニケが第2放送での関西主場からの中継を整備する必要があった訳で、北野アナや藤田アナが“地元採用枠”だったのは、そういう経緯がある…と推測される。)とはいえ、単発放送で、しかも他のスポーツ実況の経験が乏しい若手が拙い競馬実況をやればどうなるかはお察しの通りで、その恐怖心から、自然と競馬場から足が遠のいたと考えると、不憫でならない。(逆を言えば、それに物怖じせずに、むしろ堂々と競馬実況で名を馳せた蜂谷アナの方が‹バケモノ”だったという事w)

ただ、競馬そのものが“嫌い”って訳ではなく、時折、競馬場やウインズに顔をのぞかせ、馬券を楽しんでいた様で、蜂谷アナに馬券購入を頼む事もしばしばあった様です…そんな事もあって、実は千里丘時代は、結構蜂谷アナとぶつかる事が多く、正面切ってガチ喧嘩なんて日常茶飯事。しかしそれは、裏を返せばお互いをライバルとして認識し、アナウンス技術の向上を切磋琢磨してた姿であって、互いを意識してるからこその話だったのはいうまでもなく、ゆえに滅多なことでは同僚が喧嘩を止めることはしなかった様です。当の本人も、その件に関して、“あどラン”本一冊目に蜂谷アナに対して“ガチ喧嘩できる相手”と認めている事を踏まえると、“ウマ娘”のウオッカとダスカの関係よろしくな、本音は“背中を預ける事ができる同僚”と認識してたのかもしれません。

朗読やナレーションだったら安定した発音と低音で力強い声は、それこそ、競馬実況ではモノにできなかった分、準教育放送としてテレビ免許を取得していたMBSで制作した教養番組…特に小学生高学年向けに、当時の近畿圏内の教育委員会の依頼で作成した“私たちの近畿”という社会科のミニ番組では、ナレーションとレポーターをやっていて、オイラと同世代なら、覚えてる人も多いかと思う。だけど、今更ながらこういった一面もあったと紹介すると、なぜ、去年グリーンチャンネルで放映された“競馬書記”の中で、蜂谷アナが少し“暗い顔”をしてたのか、察しがついたかと思う…おそらく、収録の前後にこの訃報があって、それを隠すために取り繕ったと推察すると、相当なショックだったのかもしれない。



オマケの話:今回は本家と同時公開という方式でネタを揚げてます。また、本家の方ではちょっとしたウラ話も…w



小説のようなモノ〜ティルタニア騎士団物語 第16話〜

「イグニスよ、此度の作戦は、貴様の上官の失態に対する、尻拭いの様なモノだ…それでも、この仕事、引き受けるのか?」

廃工場の片隅にある、アジトらしき小屋の中で、イグニスと呼ばれた青年将校は、以前の上官の失態に対して、汚名返上の機会を求め、自ら最前線に出ることを申し出た。それに対し、

「いくらスプリング少佐の血縁と言えど、能力的に劣るところがある…特に、破壊力はあれど、再構築能力が乏しい様では、目立つ証拠を残すだけで、なんの意味もない。我々にとって、それは由々しきことだ…わかるか、イグニス。」

と、作戦参謀に作戦から下りる様、遠回しに注意されたにも拘らず、

「あの作戦は、私自身の失態です…それを庇い、目の前で処刑された以上、申し訳が立ちません。この作戦、必ず成果を上げることを約束します…だから、行かせてください!!」

と、引き下がろうとしなかった。困り果てた顔をした参謀は、その気迫に負けて、作戦の手順をイグニスに伝えた…のちにこの事が、作戦の失敗のみならず、この事件の首謀者を暴く事になるとは知らずに。

 

その頃…普段ビスタ以外は入室を禁じてる個室で、

 

「そうか…ジュンはこれ以上、無理をさせられないって事か。」

と、努が持ってきた診断書に目を通し、溜息を吐いた。

「日常生活には支障ないと言っても、体力的にこれ以上無理だ。何せ、救護した時点で、既に死んでておかしくない状況だった。しかし…」

「蘇芳さん、全てを言わなくてもわかります…心身共にズタボロにされながらもなお、その死線に抗い、生きる事を諦めなかった。だから、どうにか持ち堪えたと…」

「守護、問題はそこじゃない。」

「え…どういうことですか?」

努の意外な発言に、ビスタは戸惑った。

「俺も最初は、普通の人間…アーシアンの少年だと思って生検をしたが、どうも腑に落ちない部分があって、ちょっとお前さんらの生体データと照合したんだよ。」

次の瞬間、ビスタは、なぜ努がジュンの身体がこれ以上無理ができないのかを悟った。

「つまり…僕らと同じだと…」

「正確に言えば、短期間で、しかも無理矢理ティルタニアンに“させられた”と言った方がいいかもな。混血である直樹や渉ならともかく、生きたまま遺伝子操作を受け、強引にアグリブロス系に作りかえようとした形跡がある。これがなにを意味するか…」

「まさか…」

「彰人だと速攻でガノタツッコミが入るだろうが、そういう事だ。ジュンはお前さん以外のティルタニアンによって拉致監禁された上、禁忌とされた生体組み換え錬成の実験体として、人為的に作られた存在…って訳だ。あの動画の正体も、通常のアーシアンが見たら悪趣味な変態行為に見えるが、周囲の様子を注意深く観察すれば、いくつもの不審な点が出てくる。そこから推察すれば、他に犠牲になったアーシアンの子供達がいた可能性がある。」

ビスタの凍りついた表情を見ながら、努は考えられ得る状況を説明した。そして…

「恐らくだが、あの状況で持ち堪えられたのは、中途半端にアグリになったからこその弊害だ。今でこそ、経口摂取による食事で栄養を補える様に回復したが、ミイラみたいな見た目のまま地中に埋まってても、一週間は生命維持ができただろう…ただ、その前に“ブートプランツ”を起こして、ヒトとしての姿は、完全に潰れてしまってるだろうが。」

こう告げられ、ビスタは言葉を失った。これ程までに惨い扱いを受け、その結果、何もかもを失ったジュンは、行く宛も、帰る場所も無く、その先の未来も、絶望しかない運命に、ただ…沈黙するしかなかった。

 

同じ頃、ジュンはシーマと一緒に、直売所の清掃作業を行なっていた。普段、ジュンは嗅覚が鋭敏過ぎて、営業中の直売所や軽食コーナーには近付く事すらできない…が、月に一度、定期点検を兼ねたこの日だけは、その鋭敏な嗅覚を活用して店内の不備を探る役目で、人気のない店内に入って、シーマ達を手伝っている。

「悪いな、ジュン…こればっかは、俺達だけでは片付かねぇんだよ。」

ヴェルファイアが声を掛けたが、あの一件以降、警戒されてしまって、無視されてしまう。

「あの…まぁ、仕事…頑張れよ。」

「堀川先輩、完全に嫌われて…」

「尾崎!お前が言うな…何が悲しゅうて無視されてんか、解って言ってんか‼︎」

シーマのツッコミに、思わずヴェルファイアヘッドロックをかけるのであった。

 

馬事振興と競馬の話。

えっと…本格的な復帰はまだ先になりそうですが、先日、ちょっと気になる話がSNSで飛び交ってたんで取り上げさせてもらう。実は、国指定の天然記念物である宮古馬が、劣悪な飼育環境下に晒されていて、絶滅の危機にあるというのだ。ただでさえ、日本在来馬そのものが、絶滅寸前の状態なのに、なぜ保全活動そのものが上手く機能してないのか?その背景にあるのは、自治体の税制が“間違っている”ということと、せっかくJRAが馬事振興事業に対する助成を行なってるにも拘らず、それが全く“活かされてない”という、ある意味で“お金に汚い話”が関わってると推測される。ここでは、あくまで競馬に関する話題をやってる以上は、JRAが行っている“馬事振興事業助成制度”に関する部分で話を進めていく。

以前にもこのブロマガで解説したかとは思うが、JRAは競馬開催の意義を“畜産振興”のための事業費を捻出するために行っていると法律(競馬法および関連規則)に明記していて、馬事振興は、その一環として取り組んでいる部門であり、馬が関わる様々な事業…それこそ観光牧場での展示から馬術競技会場の整備、果ては祭礼行事に至るまで、“馬いるトコにはJRAのロゴあり”な訳であるw だから、よほどのトコでない限り、馬を繋養してる施設には、必ず厩舎の一角にJRAからの助成を受けてる事を示すプレートが付いている。もちろん、そのための条件がいくつかあるのだが、基本的に、馬事振興に関与してるのであれば、JRAの方から助成を受けるかどうかの打診が来る訳であり、それによる支援は、馬を飼う観光施設にとっては、いろんな意味で経営が助かる訳である。

しかし…この助成制度の活用に関して、結構勘違いしてる人が多いのも事実で、基本的な条件として、単に“馬を飼う”事だけでは下りないのであって、繋養中の馬をいかにして“活用”するか
明確な目的が示されないと、受けられない訳である。つまり、馬に関わる“経済活動”が伴う事が最低限の条件であり、そのための整備費用を助成してる訳であり、その中には当然だが、馬の健康管理に必要な経費も計上可能なのである。逆を言えば、単に“個人的な趣味”として馬を飼ってるのでは、助成制度を受けられない訳である。

宮古馬の保全活動の問題点は、恐らく、この範疇の話であると思われる訳で、JRAが保護活動に助成を行いたくても、保護活動団体や行政が“JRAからの助成お断り”な態度を取ってるなら、手出しができない訳である。どっかの政党が、国からの政党活動支援策として設けてる政党助成金制度を拒否してるのと一緒で、支援者のカンパのみで活動してるからという大義名分のみで、国からの支援を断ってるから手詰まり状態になってる訳であり、また、本来であれば馬の繋養に必要な技術を習得するための研修機関があるにも関わらず、そういうトコでの研修や実務がない人に“馬飼えや”と言って助成金出してたら、活用できる訳がないです。そりゃ、馬よりも自分の生活費に充てますよ、貧困な地域だったら。

ただ、だからと言ってJRAがやってる事を無条件で褒めることはできません…なんせ、こういった事を今まで公表してこなかった訳ですし、むしろ、こういう馬事振興助成制度そのものは、90年代以降にできた制度と言って過言じゃないからです。なんせ日本は、馬も含めた畜産振興に関して、結構無頓着な国であり、事ある毎に畜産農家が辛酸を舐めてきた経緯があって、特に馬に関しては、急激なモータリゼーション化が進んだ弊害で、鉄道事業以上に蔑ろにされてきた歴史があります。そして、競馬を他の公営競技同様に、ギャンブルとしての部分しかメディアが取り上げなかったこともあって、その結果、収益の殆どが“一般財源”に振り分けられてしまったのです。本来であれば、これは“特定財源”として、主に畜産農家の事業整備費等の助成に充てるべき部分を、他の税収と同じ扱いにしてるから、畜産農家になかなか回ってこないという現実がそこにあるのです。平成に入って、空前の“競馬ブーム”が巻き起こって、
やっとこ“競馬開催の意義”が認知されるようになったからこそ、馬事振興関連事業に関する助成制度が整備された訳であり、その一環として、グリーンチャンネルで放映される畜産関連番組の制作や、情報発信の場を設けることができたのです。

つまり、馬事振興に関して、世界から見た日本はまだまだ後進国であり、その活用形も未熟なトコがあって、故に一般家庭でミニチュアポニーを飼うにしても、ハードルが“高過ぎる”訳なのです。とは言え、都心で飼うとなると、住宅事情的に無理なのは想像しなくても分かる話ではあるのだが…w