迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

馬事振興と競馬の話。

えっと…本格的な復帰はまだ先になりそうですが、先日、ちょっと気になる話がSNSで飛び交ってたんで取り上げさせてもらう。実は、国指定の天然記念物である宮古馬が、劣悪な飼育環境下に晒されていて、絶滅の危機にあるというのだ。ただでさえ、日本在来馬そのものが、絶滅寸前の状態なのに、なぜ保全活動そのものが上手く機能してないのか?その背景にあるのは、自治体の税制が“間違っている”ということと、せっかくJRAが馬事振興事業に対する助成を行なってるにも拘らず、それが全く“活かされてない”という、ある意味で“お金に汚い話”が関わってると推測される。ここでは、あくまで競馬に関する話題をやってる以上は、JRAが行っている“馬事振興事業助成制度”に関する部分で話を進めていく。

以前にもこのブロマガで解説したかとは思うが、JRAは競馬開催の意義を“畜産振興”のための事業費を捻出するために行っていると法律(競馬法および関連規則)に明記していて、馬事振興は、その一環として取り組んでいる部門であり、馬が関わる様々な事業…それこそ観光牧場での展示から馬術競技会場の整備、果ては祭礼行事に至るまで、“馬いるトコにはJRAのロゴあり”な訳であるw だから、よほどのトコでない限り、馬を繋養してる施設には、必ず厩舎の一角にJRAからの助成を受けてる事を示すプレートが付いている。もちろん、そのための条件がいくつかあるのだが、基本的に、馬事振興に関与してるのであれば、JRAの方から助成を受けるかどうかの打診が来る訳であり、それによる支援は、馬を飼う観光施設にとっては、いろんな意味で経営が助かる訳である。

しかし…この助成制度の活用に関して、結構勘違いしてる人が多いのも事実で、基本的な条件として、単に“馬を飼う”事だけでは下りないのであって、繋養中の馬をいかにして“活用”するか
明確な目的が示されないと、受けられない訳である。つまり、馬に関わる“経済活動”が伴う事が最低限の条件であり、そのための整備費用を助成してる訳であり、その中には当然だが、馬の健康管理に必要な経費も計上可能なのである。逆を言えば、単に“個人的な趣味”として馬を飼ってるのでは、助成制度を受けられない訳である。

宮古馬の保全活動の問題点は、恐らく、この範疇の話であると思われる訳で、JRAが保護活動に助成を行いたくても、保護活動団体や行政が“JRAからの助成お断り”な態度を取ってるなら、手出しができない訳である。どっかの政党が、国からの政党活動支援策として設けてる政党助成金制度を拒否してるのと一緒で、支援者のカンパのみで活動してるからという大義名分のみで、国からの支援を断ってるから手詰まり状態になってる訳であり、また、本来であれば馬の繋養に必要な技術を習得するための研修機関があるにも関わらず、そういうトコでの研修や実務がない人に“馬飼えや”と言って助成金出してたら、活用できる訳がないです。そりゃ、馬よりも自分の生活費に充てますよ、貧困な地域だったら。

ただ、だからと言ってJRAがやってる事を無条件で褒めることはできません…なんせ、こういった事を今まで公表してこなかった訳ですし、むしろ、こういう馬事振興助成制度そのものは、90年代以降にできた制度と言って過言じゃないからです。なんせ日本は、馬も含めた畜産振興に関して、結構無頓着な国であり、事ある毎に畜産農家が辛酸を舐めてきた経緯があって、特に馬に関しては、急激なモータリゼーション化が進んだ弊害で、鉄道事業以上に蔑ろにされてきた歴史があります。そして、競馬を他の公営競技同様に、ギャンブルとしての部分しかメディアが取り上げなかったこともあって、その結果、収益の殆どが“一般財源”に振り分けられてしまったのです。本来であれば、これは“特定財源”として、主に畜産農家の事業整備費等の助成に充てるべき部分を、他の税収と同じ扱いにしてるから、畜産農家になかなか回ってこないという現実がそこにあるのです。平成に入って、空前の“競馬ブーム”が巻き起こって、
やっとこ“競馬開催の意義”が認知されるようになったからこそ、馬事振興関連事業に関する助成制度が整備された訳であり、その一環として、グリーンチャンネルで放映される畜産関連番組の制作や、情報発信の場を設けることができたのです。

つまり、馬事振興に関して、世界から見た日本はまだまだ後進国であり、その活用形も未熟なトコがあって、故に一般家庭でミニチュアポニーを飼うにしても、ハードルが“高過ぎる”訳なのです。とは言え、都心で飼うとなると、住宅事情的に無理なのは想像しなくても分かる話ではあるのだが…w