迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

みんな、スポーツ好きw

このブロマガで紹介した競馬実況アナは、総じて“スポーツ好き”である。但し、単純に好きと言っても、観戦するだけの人から、ガチで国内外の大会に参加してる人まで、実に様々w まぁ…社交辞令でゴルフと答える人が多い中で、いろんな意味で“変わりダネ”を紹介しようかと思う。
このブロマガでも取り上げてるから、既に知ってる人も多いのが“走り屋蜂谷”ネタw そもそものきっかけもさることながら、未だに国内外のマラソン大会で走っていらっしゃるんで、一部の大会公式ホムペで検索かけると、走破タイムが出ますからねぇ…さすがに、もう70歳超えちゃってるから、そんなに早くは走れなくなってるが、当人にしたら楽しいから参加する訳で、おそらくこないだのケンタッキーダービーの際も、宿泊先の周辺とかを走ってた可能性はあるw(場合によっては、チャーチルダウンズ競馬場キーンランド競馬場の馬場を試走した可能性が…)
舩山アナと草野アナの共通項は、元・NHKアナというだけじゃなく、“相撲バカ”でもあることw ま、舩山アナの場合は今でもアマチュア大会でまわしを締めて参加してる訳だが、草野アナ自身も、かつてはそういう大会にも出た経験があるとか。ご存知の通り、年齢に割に筋骨隆々な草野アナのことですから、格闘技系のヤツなら、観戦よりも参加したいクチであることは確かで、それゆえに番組の企画でプロレスのリングに上がって大暴れした…なんて“武勇伝”も存在する訳でw あ、以前にも紹介したが、ああ見えて、剣道二段です…どんだけの武芸派よ。
番組企画…というと、来栖アナの趣味に“乗馬”があるが、実は彼がやってるのはウェスタンライディング…以前解説した、馬術競技でも実用形式とされるアレである。ぶっちゃけな話、本格的に馬術をやってる競馬実況アナってのは、オイラの記憶が正しければ彼だけだと思うのだが…もう一つはラグビー。学生時代、社会人クラブにこっそり加入して、楕円のボールを抱えて走ったクチであり、MBS入社当初も、“顔が命”なアナウンサーなのにラガーマンしてたそうな。で、実際に試合中に前歯を折って、その後業務でテレビでのニュース担当だったこともあって、今では“籍だけ”らしい…
“スイーツ王子”の岡安アナの場合、あんなにガッツリと甘いモノを食べてる割に体型が維持されてるのは、普段からエアロビクスをやってるから。本人に言わせると、美味しいモノを食べるのであれば、それに似合うだけ汗を流せばいいとのこと。ゆえに、番組上で様々なスイーツを食べるロケが終わると、すぐさまスポーツジムに行って、体を動かしてるとのこと。もちろん、スケジュールさえ許せば、エアロビの大会に出ることもあるとかないとかw
藤田アナの場合、今でこそテニスを嗜んでるが、元々は卓球少年で、高校卒業するまでは部活は卓球だったとか。腕前に関してはともかく、体型的に細身で居られるのは、今でもラケット片手に走り回ってるからであり、その運動神経のよさ、動体視力のよさが競馬実況において威力を発揮してたと言っていい…同じ理屈は小林アナの“見極めのよさ”にも通じてる訳で、以前にも解説したように、彼の場合は高校球児であったことが全てを物語っている。(とは言え、機敏のよさに関しては、むしろ明大クイズ研でボタンの早押しをやってた影響もあるかとw)
まぁ…最後らへんに関してはアレだが、競泳やフットサルをやってる方もいない訳ではないが、そもそも、学生時代までに始めたスポーツに関して、今でも続けているかと尋ねたら、おそらく殆どの連中は首を横に振ると思う。が、社会人になっていこう、様々な理由で始めたことに関しては、意外と続くことが多い。その最たるモノがゴルフだろう…無駄な動きが少なく、内臓疾患が因で運動に制限がかかっててもできるとあって、ベテラン勢はこっちに走りやすい…だけど、ゴルフ用品は凝り始めるとキリがないし、なんといってもプレイ代が他の競技に比べて割高w(ま、乗馬の場合は馬を持ち始めると、ゴルフ以上に費用が嵩むけど…)だから、ある意味ではステータスとしてやってる部分もある。とはいえ、競馬中継スタッフが体育会系になりやすいのは、案外、こういうノリがあるからかもしれない…w


民放ゆえに、番組スポンサーは“神様”ですw

ケンタッキーダービーの実況中継、ラジニケがある意味単独で放送した訳だが、番組制作上のスポンサー名を聞いて、変な違和感を持たれた人も多かろう。通常なら、JRAが然るべき“番組スポンサー”として仕切ってると思われがちだが、今回、聞き慣れない企業名が出てきたかと思う。Twitterのフォロワーさんからの報告では、実はこの番組スポンサーとなった“アイテック”なる会社、ノースヒルズの関連会社で、実質、前田オーナーが経営してる会社である。業務内容としてはCM通りで、公共事業(主にインフラ系の管理)でのエンジニア業務を行っている。でも、何でそんな会社が競馬中継のスポンサーとして1時間も放送枠を確保できたかといえば、先ほどの説明通り、会社の経営者自身が“オーナー”であるからこそであり、だけど“ノースヒルズ”名義でスポンサーになると、他の馬主や競馬ファンから“独り善がり”と批判されるのは目に見えてる…ま、要はパナマ文書よろしくな“名義ロンダリング”をやった訳である。
しかし、そんなのはNHKではない以上…民間企業の放送局である以上は、番組を制作するための資金を、より多くの企業や組織団体から出資してもらわないと、どんなに中継権を取得しても、番組制作を行うことはできない。これは、他のスポーツ中継でも同じで、大阪国際女子マラソンでも、メインスポンサーは日東電工グループ(過去にはダイエーグループ)が行ってる訳だし、箱根駅伝だって主催は読売新聞社でも、番組制作はサッポロビールを中心に様々な企業が制作費を出資してる訳であり、況やプロ野球の放映権を取得するために、多くのスポンサーに出資を募った上で放送ができるのである。だからこそ、スポンサーとなった企業の“注文”は飲まざる得ない訳であり、それ故の“お約束”が発生するのは、民放ゆえのジレンマでもある。
つまり、ノースヒルズの競走馬が、海外競馬を走る度、それを中継する放送局は、スポンサーとして出資する“条件”として、蜂谷アナを“現地コメンテーター”として登場させるのが、ある意味“義務”となる。その“条件”が飲めたから、ラジニケは今回のケンタッキーダービーの中継を行えたと言っていい。ま…その前に、2回(2013年の凱旋門賞と今年のドバイミーティング)もやってることを踏まえれば、スポンサーとして番組制作費を出してくれる上に、心強い“助っ人”まで付けてくれる訳だから、金欠気味なラジオ局としては、これほど有難い存在はないw 余談だが、蜂谷アナの解説の際にも触れたが、MBSアナとして現役時、ラジオでホノルルマラソンの報告会を毎回行ってたんだが、メインスポンサーこそ住之江ボートが付いてたものの、時折、今回同様の“ヘンチクリンなCM”が流れるケースがあったのだが、おそらく、これも前田オーナー絡みの企業が“ノースヒルズ”名義を隠すためにやったものと思われる。(こういうトコでも出てくるから恐ろしいなぁw)そういや、5年前の“競馬場の達人”出演時でも前田オーナーが登場する場面があったことを踏まえると…どんだけの癒着振りよ、これw



生え抜きと中途採用の“格差”とは?

NHKマイルCの週に放送された“うまきんⅢ”で、番組ディレクターとしてスタジオでガサゴソしていた小塚アナが、今回がGⅠ初実況となる大関アナに対する渡辺アナの態度に対して「俺の時はそんな事なかったのに」という旨の発言をしたのだが、これにはある意味事情がある。それは、“生え抜き”と“経験者”の違いである。ぶっちゃけ論でいえば、自前で育成した人材なのか、他方で実践を踏んできた人材なのかの差である。
“生え抜き”とは、アナウンサーとして所属放送局以外での勤務経験がなく、かつ、専門分野以外の業務も含めた研修は、すべて所属局、あるいは系列主管局で受けた者を指す。つまりは、“純粋培養”された存在であり、放送局の特色を受け継いだアナウンス技術を持つ事になる。ただし、基礎の部分からの育成となると、流石に時間がかかるし、現場経験が浅い分、非常時での対応ができなくて、本番中にもパニック状態で喋るハメになる。だから、実況デビューでも慎重になり、特にラジニケの実況はJRAでの“公式記録”でもあるため、失敗は許されない。(記録映像用の実況は、後からスタジオで録り直しになる…過去の重賞レース映像が流れる際、変な違和感があるヤツは、当時の現場音声ではなく、大概はスタジオでの録り直しである。)
逆に“経験者”としての中途採用者は、アナウンサーとしての技能や経験は、以前の所属局でやってきてる分、現場における“即戦力”としての位置付けがある。そのため、入社後からのデビューも早く、問題がなければ入社(移籍)後、最速半年で“競馬中継デビュー”という事になる。ただし、“生え抜き”と違って、以前の所属局での“クセ”が付いている事が多いため、どうしても変な“違和感”を生じる事も多い…一番わかりやすいのは、先日のケンタッキーダービーなどでの海外競馬中継において、現地コメンテーターとして蜂谷アナが登場した際、長年MBSの実況アナだったクセがどうしても抜けないため、ラジニケの通常の中継で聞き慣れているとヘンチクリンな“違和感”を覚えたかと思う…それをと同じで、以前にも解説したかと思うが、在籍年数が長ければ長いほど、以前の所属放送局の習性が抜けなくなる。ゆえに、移籍するタイミングが早い人ほど“クセ”が補正されやすいが、遅すぎると、その“クセ”が却って味になる場合もある。(そこんトコは、ある意味リスナーの好みだろうけどw)
話を戻して解説し直すと、小塚アナの場合は舩山アナや米田アナ同様に中途採用組であり、元はFNS系の仙台放送所属である。相対して、大関アナはラジニケの“生え抜き”である。中途採用と言っても、雷神様…もとい、中野アナの場合、全く畑違いな職業からの転職であり、半分“生え抜き”である。だから、社局としての期待度は、自ら育成した存在の方が、無限の可能性を秘めていると認識される訳であり、そしてGⅠ実況までに時間がかかったのは、重責を担えるだけの度胸と経験を積ませる必要があったからである。
まして大関アナの場合、入社早々からイレギュラーの連続であったのは言うまでもなく、東京本社所属でありながら、デビュー時から関西での番組進行と実況であったのはご存知の通り…GⅠ実況に関して、ラジニケは大阪支社勤務経験の終盤か、東京へ戻ってからである。入社から10年も経過してと思われるが、逆を言えば、公式実況ではない放送局と比較すれば、そのプレッシャーはハンパない…だからこそ“生え抜き”に対して時間をかけ、できるだけ大舞台において“失敗しない実況”ができる職人を育成するのである。だからこそ、他局が半年〜1年で“初鳴き”を行うことに対し、ラジニケの競馬実況アナは、たっぷり時間をかけて育成してる訳であり、そこんトコは中途採用者に対しても同じではある…が、やはり“即戦力”として採用してる以上、それに似合うだけのアナウンス技術が要求される訳であり、その分のハンデがあるのは否めない。これはいずれ、山本直アナ自身も体験する事であり、彼の場合は今後を踏まえると、かなりのプレッシャーになると思う。中途採用でも、大阪支社に転属となった米田アナの場合、喉に“爆弾”を抱えてる状況では、競馬記者としての仕事はできても、本文である“競馬実況アナ”としての技術を、さらに向上させるのは難しい。ご存知の通り、米田アナは転属前から競馬実況のローテーションから外れている。実況中に“原因不明”な息切れを発症してるからだ。(一部のファンから「気胸では?」という嫌疑がかけられている…)これが改善されない限り、実況アナとしての復帰は難しいのは言うまでもなく、最悪、早めの“交代”もあり得る。それは当人も自覚してるだろうから、できるだけ放送席に座り、番組進行の業務に徹してると言っていい。これが“生え抜き”であれば、半年以上でも休養させて体制を整えさせられるのだが、仮にも放送現場の経験者である以上、しかも、福島で重賞実況の経験もある以上、技量的な部分でのハンデとして、どんな状況でも喋り続けなければいけない…自分自身を“プロ”として自負してる以上は当然である。
待遇を均一化しろと巷では騒いでる輩がいるようだが、こういう“格差”は、双方が抱えるハンデがある以上やむない部分であり、仮にそこを改めた場合、“生え抜き”はどんどん会社を辞めることになるし、“経験者”はそれ故に、ブラックな対応をせざる得なくなる。組織として役割に“格差”が生じるのは、それ故の“期待”でもあり、ハンデをできるだけ小さくしようと思えば、却ってそういう“調整”が入ることになる。それが“組織社会”というモノであり、そこに文句を言うのであれば、個人レベルでできる全てを習得すべきである…軍隊や宗教団体といった組織は、自己完結ができる組織として様々な分野の人間が集う場所である。故に様々なスキルを分担し、その役割毎に人員を割り振る。それを専門分野に特化したのが企業であったり、個人商店であったりする訳である。そういったことすらわからない人ほど、真の意味での“格差是正”から遠ざかる発言しかできないのである。

馬術競技は競馬の“基本”なりw ドレスコード編

馬術と聞くと、“銀の匙”等のマンガで描かれる、スーツみたいな姿をイメージするか、競馬での誘導馬に騎乗してる係員の格好が一般的だが、実は競技によって“ドレスコード”が決まってるからこその話で、練習時からあんなカチっとした格好でやってる訳ではないw むしろ“芋ジャー”で練習や馬の世話をするのが一般的であり、競技本番の時だけ、ドレスコードに従い“正装”する訳である。そして、意外かもしれないが乗馬の世界において、競馬での“勝負服”は、実は歴とした“正装”扱いであり、騎手が“勝負服”のままで馬主や来賓客に近付いても、失礼には当たらない。つまり、あのハデハデしい“勝負服”は、騎手にとっての“礼服”であり、それを着ずにアンダープロテクター(現在のルールでは着用が義務付けられている、落馬時の怪我を防ぐジャケット状のアレ)で場内をうろつくのは、むしろ本来は失礼な行為である。(もちろん、防寒のために、ジャンパー等を着てるのも、本来はアレなんだが…w)
現在の“勝負服”は大まかに言えば、“サテン”と“エアロフォーム”という2種類の形態があり、特に最近ではエアロフォームの方が一般的になっている。ちなみにオイラの手元にある、オグリキャップのレプリカ勝負服もエアロフォームタイプで、生地が伸縮性に富んでいて、かなり軽いのが特徴とも言える。(ついでに言えば、福島の河野テーラー謹製…要はガチのヤツw)このエアロフォームは、90年代前半ぐらいから使われ始めたモノで、それまではサテン生地(通常はドレスやスーツ等の裏地に使う布。普通はレーヨン素材だが、高級なのになるとシルクだったりする!!)の、どっちか言えばヒラヒラな感じのモノの方が一般的だった。なんでサテンなのかといえば、以前解説した、騎手の“斤量”に関わる訳で、少しでも基礎体重を軽めに維持したいため、できるだけ薄く、軽い生地が好まれた訳である。しかもサテンだと、色のバラエティーもさることながら、光沢のある素材故に、風に煽られるとキラキラと色を放つからである。さらに柔らかい素材なんで、加工がしやすいのも特徴で、大まかな型紙さえできれば、すぐに作ることができるのも強みだった訳である。しかし、伸縮性がない上に、雨などで水分を含んでしまうと重くなり、絞って野外に干すと、素材によっては縮んでしまうこともしばしば…そのため、ゆるフワな感じのモノばかりになる訳で、地方競馬の騎手だと、それを嫌って雨天用にゴアテック生地(雨合羽用のアレ)で作った“勝負服”を用意するケースもあった訳である。しかも、生地自体がペラペラなモンだから空気抵抗が激しく、レース中の馬への負担も相当な状態で、ラストスパート前にスタミナ切れになることも…
そういった欠点を解消させたのが、現行のエアロフォームである。素材としては水着やドライTシャツに使われるようなモノが一般的で、速乾性と伸縮性に優れ、しかもタイトな姿の型紙で作ることができることもあって、着心地はピタっと生地が吸い付く感じになる。そのため、よりスマートな姿になる訳で、空気抵抗も少なくなった訳である。しかし、欠点として、いわゆる“フリーサイズ”で作るのは難しく、サイズが合ってないと絞め付け感がハンパないw(関西風に言えば、“おは朝”のおき太くん&めざめちゃんの着ぐるみは、中の人が着慣れていないと、エレクトーン横で座ってるうちに、首が絞まって気絶するという状態w)
どちらの“勝負服”にしても、実はもう一つ面白い“お約束”が存在する…それは、襟口や首元をよく見ればわかるが、チャームらしき飾りを付けてる事がある。海外の競馬では、サテン生地の“勝負服”の襟元にはスカーフを巻くのが習慣であり、現行のエアロフォームではそれができないこともあって、下着のハイネックシャツに刺繍を施したり、ネックレスのようなモノを着けるのである。極端に言えば、騎手が“勝負服”のままで“ネクタイ着用”のドレスコードがあるトコに行っても、襟首のチャーム一つで入店・通行できるのである。(とは言っても、競馬場での話だが…)だから、海外の騎手がアクセサリーやスカーフのデザインを手掛ける事はよくある話で、日本でも一部の騎手が自前のグッズを作成し、身に着けているのは、そういうことである。
あ、そうそう、ジョッキーパンツは素材の違いはあれど、基本的には競馬も馬術もほぼ同じ。ブーツに関しても、競馬用は軽量素材で作られているが、基本的には他の馬術とほぼ一緒。だから、一見すると違う種目に思えるが、実は“同じ種目”なのですw(とは言っても、やってることに関しては、スケートで言えばフィギュアとスピード種目、水泳では高飛び込みと競泳みたいな違いがあるけどねw)



馬術競技は競馬の“基本”なりw 技術編

競馬において、いわゆる“モンキー乗り”という騎乗技術は、今でこそ一般的なモノになったが、日本でコレが一般的になるには、戦後、保田隆芳騎手のアメリカ武者修行以降の話である。しかし、この“モンキー乗り”ってのは、あくまで騎乗スタイルが、まるで“おサルさんが馬の背中にしがみついてる”ように見えるからそう言われるだけで、実は、基本の騎乗技術が出来てないと、全く話にならないほど、バランス感覚と内腿の筋力が重要になる騎乗方法である。
先月、テレビ大阪で放映されている“おとな旅あるき旅”という番組で、栗東周辺の特集をやってたんだが、出演者の三田村邦彦と斎藤雪乃が、トレセン近くの馬具屋で騎乗フォームを練習する木馬に試乗する場面があったんだが、時代劇などで馬に騎乗する機会がある三田村と、そうじゃない雪乃ちゃんでは、全く話にならないほどの差が出ていた。乗馬経験者や中型以上の自動二輪に乗る人なら、内腿に力を入れて股を絞める事は、騎乗時の基本として習う事が多いんでできなくはないが、そういう経験が乏しいと、そこから膝を伸ばす事すらできない。もっと言えば、中腰の状態で体の位置を保持する事すら難しいのである。
では、競馬で“モンキー乗り”が一般的に普及する以前は、どういう騎乗方法が普通だったのか?答えはいたってシンプル。普通の馬術競技と同じスタンダードライディング…通称“天神乗り”が常識だった訳である。つまり、“モンキー乗り”とて、基本姿勢である“天神乗り”ができてないと話にならないのであり、乗馬経験が全くない素人が、いきなり騎手と同じ騎乗姿勢で馬を御する事は、不可能に近い…仮にできたとしても、重篤な落馬事故につながりかねない。
“天神乗り”での基本操作は、膝と腰を使って、馬の動きに合わせて上半身を上下に動かす。この際に内股気味に力を入れる事で、鎧にしっかりと体重が乗り、背筋が伸びた状態で御する事ができるのである。また、軽速歩(いわゆるダグ)の際にお尻を馬の動きに合わせて跳ね上げるように動かす事で、馬の負担を軽減させる事ができる。この一連の動きは駈歩(いわゆるキャンター)までは、ほぼ一緒である…襲歩(ギャロップ)となると話は別で、天神乗りでコレだと、馬もさる事ながら、人間の方が大変w(ガチでケツ痛い…) そこで“モンキー乗り”という訳である。コンパクトに体を屈めることで、膝にかかる負担は大きくなる反面、襲歩でも基本動作を崩す事なく行えるのである。また、空気抵抗が“天神乗り”に比べて小さくなるため、走行速度が速くなり、馬の負担も大幅に軽減できる。こういった事から、現代の競馬の世界では“モンキー乗り”の方が主流と言っても過言ではない。
手綱や鞭の使い方も、馬術競技のそれと違う点を挙げれば、“モンキー乗り”だからこそ、その重要性は変わってくる。ぶっちゃけ、“モンキー乗り”だと、鎧の位置の関係でチョーカー(拍車)が使えないからこそ、鞭での合図の出し方一つで指示を出さないとマズいのである。だから、競馬では騎手が無闇矢鱈と鞭で馬体を叩いてるかのように見えるが、大概は馬体を叩いてはいない。特に馬の顔の横で鞭を振るうのは“見せ鞭”と呼ばれるモノで、見せ方によって方向変換を行ったり、ラストスパートの合図として行うのである。“見せ鞭”を行った後で、馬の尻を叩く訳であり、その目的も速度を上げる合図として、音を立てる手段としてである。だから、有能な競走馬ほど“見せ鞭”だけで走る事ができる訳であり、ヘタレな騎手ほど鞭を頼りすぎて、競走後に馬体にヘンな擦り傷を負わせてしまうのである。手綱の持ち方も、基本は両手で持つモノなのだが、競馬の場合、最後の直線で鞭を多用する事もあって、ウェスタンライディングに近い格好で手綱を持つ事が多い。ちなみに、ウェスタンライディングでは、手綱は左手で纏めて持ち、右手を常に空けるのが基本で、ロープなどの作業用具を持った状態になる事が多い。(ロデオマシーンでも、上級者が左手で鞍の取っ手を握るのは、そういう習慣だから。)
次回は“勝負服”にまつわる話w 余談だが、オイラの手元にはレプリカといえど競馬で実際に使われてる素材と同じモノでできた“勝負服”を持っている。(某パチンコメーカーの懸賞で当てたヤツだが…w)


馬術競技は競馬の“基本”なりw 用具編

競馬学校に入学する者の中には、乗馬経験がほぼ初心者ってのもいたりする。近年は一応、乗馬クラブのジュニア(小中学生対象)クラスで、乗馬の基礎を学んだ上で入学するケースも増えてるが、そもそも、競馬の騎手になるためには、馬術の基礎技術としての騎乗姿勢や手綱による馬の制御法などを学ぶ必要がある。当然だが、競馬学校騎手課程の授業には、馬術の基本練習も含まれている。特に、馬具の取り扱いについては、馬に乗る以上、誰しもが一度は学ぶ分野であり、これがわかってないと、人馬ともに非常に危険な状態に陥る。
まず、馬装の中でも最初に手にすることになるのが、ヘルメット。競馬で使われるヘルメットは、騎乗馬の枠色(これは日本だけのルールらしい…)や勝負服(海外ではこっちが主流)に合わせるために、本体とカバー部分が分離する型式になってるが、実は素材そのものは通常の乗馬用と同じで、軽量化と衝撃を和らげる目的で、芯材に発砲スチロールが使われている。これに、特殊シェルコーティング(外側になる部分を硬化する処理)を施し、人工皮革や牛革などで覆って作られている。だから、落馬事故で頭部へのダメージを軽減するために割れやすい反面、工事現場等で使われる工業用ヘルメットと違って、意外とカッチリした作りのモノが多い。(その代わり、夏場は結構蒸れるw)だから、育成牧場やトレセン内などでミニバイク用のヘルメットの代わりに被ってる人もいる訳だが、これはあくまで道交法で定める公道上じゃないからこその話であり、そのまんまトレセンの外に出たら、当然、道交法に基づく反則切符切られますw
競走用の鞍は、いろんな意味で“お飾り”みたいな形状ではあるが、通常の乗用鞍は、馬体上部を覆う形状になっていることが多く、取り付ける際は鞍の下に腹帯を付けて巻く訳だが、必ず、腹部に確実に取り付けないといけないのは、どの鞍でも同じ。(てか、間違って取り付け位置を前側にしようものならば、馬の肋骨に当たって、思いっきり痛がる。中には痛さに耐えかねて、作業中の人間の横っ腹噛んでくる…冗談抜きでw)正しく取り付けられた状態の鞍は、よほどでない限りズレることはないのだが、締め付けが甘かったり、鞍と帯のサイズが合ってないと、騎乗中の衝撃によって、あっちこっちズレることになる。こうなると、馬体に鞍ズレによる傷がつく様になり、馬自体が非常に痛々しくなる。そこで、鞍下には通称“座布団”と言われる緩衝材を付ける。これは競馬でもゼッケンの下に付けていて、騎手が検量する際は、“自分の体重+鞍や鎧(あぶみ)を含めた馬装の重量”で、騎乗前後に行う訳である。ここでの誤差は、夏場でも発汗量による増減を加味しても100g前後…通常の乗馬ではそこまでの体重制限などはないが、競馬の場合はレースごとに斤量が変わることもあり、また、少しでも軽い方が調整しやすいこともあって、競走用の鞍は通常の乗馬用に比べてペラペラな作りになる訳である。ちなみに、通常の乗馬用の鞍は、鎧をつけた状態で5kg前後するんだが、競走用のは、どんなに重くても500gと超軽量である。(で、斤量調整用の重りは、鞍や腹帯の下とかに仕込む訳で…ry)
乗馬用のブーツは基本、1cm程度のヒールが付いていることが多いが、これは、鎧にしっかりと引っ掛けるためのモノであり、そこんトコは騎手が履いてるブーツも同じ。但し、さっきもちょっと触れたが、斤量制限がある関係で、素材が非常に軽いモノが多い。また、ウェスタンライディングをやる場合だとチョーカー(拍車)を踵とアキレス健の間の部分に取り付ける場合もあるが、馬の腹部に踵を押し当てると、馬は前へ動き出す習性を利用してるためで、反応が鈍い場合、その補助としてチョーカーを使う訳である。鞭に関しても同じで、基本的には単にお尻を叩くのではなく、叩く“音”を使って指示を出すのが本来の使い方であり、手綱で方向や減速、飛越などの仕草を指示し、鞭とチョーカーで加速を促すのが、乗馬での基本的な制御法であり、それを高速走行で行うために特化したのが、騎手の騎乗体制と言っていい。次回は、そこんトコの解説も行おうと思う。

馬術競技は競馬の“基本”なりw 用途編

今回は、競馬と乗馬の基礎知識の話w とはいえ、そもそも“競馬”自体は、乗馬技術があってこそ初めてできる競技であり、家畜である馬をうまく制御して走らせる事と、用途に合わせた技術を駆使して、目的を達成させることこそが、乗馬の世界では求められるのである。もっと言えば、乗馬技術なしでモンキー乗りはできないのであり、仮に固定された鞍の上で騎乗フォームが完璧でも、生きてる馬の上で姿勢を安定させる技術は、基礎の乗馬フォームができてないと、落馬事故の原因になりかねない。当然だが、落馬時の受け身を学ばずに事故に遭えば、骨折だけでは済まされない場合もある。かくいうオイラも、某乗馬クラブ会員だったこともあり、一応経験があるが、柔道でいうトコの一本背負や外掛けで投げ出された際に、受け身ができてないと、ガチで背骨や腰椎、あばらがヤバい事になるw(オイラの腰椎すべり症は、落馬の後遺症の可能性があると、かかりつけの接骨医が言ってたな、そういや…)
今回は、一口に“乗馬”と言っても様々な“用途”があるということについての話。ざっくりと説明すると、いわゆる“スポーツライディング”と“ウェスタンライディング”の違いであり、前者は一般的な“乗馬”であり、オリンピック種目としての乗馬も、この類に当たるし、競馬もこっちに分類される。後者は主に、畜産業における業務用であり、ある意味実用性が高い。もちろん、昨今の畜産業において、広大な牧草地に牛や羊を放し飼いにして、牧羊犬と一緒に追い回すようなスタイルは日本では北海道以外だと不可能だし、海外でも馬よりバギーやオフロードバイクでの追跡の方が主流になってることもあり、こっちも“競技用”として残ってるのが関の山である。しかし、形式にとらわれずに、気軽に始められるのはウェスタンライディングの方であり、スポーツライディングは、どうしても“富裕層のたしなみ”というイメージが強く、服装や作法が厳しいと思われがちである。実際の話、どっちの形式であっても、本格的にやるとなれば、それ相応の装備や小物が必要になるのだが…
閑話休題、スポーツライディングに限定すると、さらに種目別で細分化されるんだが、通常の馬場馬術…スケートの種目で言えばフィギュアの類に相当する種目の場合、やってることに関して見た目は地味だが、正確に目的に合わせた歩様を、しかも制限時間内で演じるのは、鞍上と馬の息が合ってないと難しいし、障害(ハードル)馬術の場合、制限時間内でのコースクリアが条件で、かつ、設置してる障害を、馬体(主に脚部)が接したり、バーを落とすとペナルティーが課され、さらに障害飛越を拒否しコースアウトした場合、失格となる。総合馬術というのは、この2種目の合計得点で競う競技であり、いずれも個人と団体がある。この他に、エンデュランスというクロスカントリー系の種目があり、野外に設置したコースをいかに早く、正確に通過するかを競う。通常のクロスカントリーだと、馬場とその外周が舞台だが、エンデュランスは完全に野外…つまり、山野の獣道や、コースによっては一般道を通過する場合がある。しかも距離が長いことも多いため、結構ハードな種目であるw そして、一般的な競馬も、乗馬の種目としてカウントした場合、平地と障害が存在する意義は、いずれも馬場馬術の延長線上にあるからだ。
だからこそ、競馬学校の騎手養成科目に馬術の基礎実習がある訳であり、実技試験でも馬術の障害飛越や誘導などの種目が存在するのである。次回は、そこらへんの解説を行おうかと思う。