迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

馬術競技は競馬の“基本”なりw ドレスコード編

馬術と聞くと、“銀の匙”等のマンガで描かれる、スーツみたいな姿をイメージするか、競馬での誘導馬に騎乗してる係員の格好が一般的だが、実は競技によって“ドレスコード”が決まってるからこその話で、練習時からあんなカチっとした格好でやってる訳ではないw むしろ“芋ジャー”で練習や馬の世話をするのが一般的であり、競技本番の時だけ、ドレスコードに従い“正装”する訳である。そして、意外かもしれないが乗馬の世界において、競馬での“勝負服”は、実は歴とした“正装”扱いであり、騎手が“勝負服”のままで馬主や来賓客に近付いても、失礼には当たらない。つまり、あのハデハデしい“勝負服”は、騎手にとっての“礼服”であり、それを着ずにアンダープロテクター(現在のルールでは着用が義務付けられている、落馬時の怪我を防ぐジャケット状のアレ)で場内をうろつくのは、むしろ本来は失礼な行為である。(もちろん、防寒のために、ジャンパー等を着てるのも、本来はアレなんだが…w)
現在の“勝負服”は大まかに言えば、“サテン”と“エアロフォーム”という2種類の形態があり、特に最近ではエアロフォームの方が一般的になっている。ちなみにオイラの手元にある、オグリキャップのレプリカ勝負服もエアロフォームタイプで、生地が伸縮性に富んでいて、かなり軽いのが特徴とも言える。(ついでに言えば、福島の河野テーラー謹製…要はガチのヤツw)このエアロフォームは、90年代前半ぐらいから使われ始めたモノで、それまではサテン生地(通常はドレスやスーツ等の裏地に使う布。普通はレーヨン素材だが、高級なのになるとシルクだったりする!!)の、どっちか言えばヒラヒラな感じのモノの方が一般的だった。なんでサテンなのかといえば、以前解説した、騎手の“斤量”に関わる訳で、少しでも基礎体重を軽めに維持したいため、できるだけ薄く、軽い生地が好まれた訳である。しかもサテンだと、色のバラエティーもさることながら、光沢のある素材故に、風に煽られるとキラキラと色を放つからである。さらに柔らかい素材なんで、加工がしやすいのも特徴で、大まかな型紙さえできれば、すぐに作ることができるのも強みだった訳である。しかし、伸縮性がない上に、雨などで水分を含んでしまうと重くなり、絞って野外に干すと、素材によっては縮んでしまうこともしばしば…そのため、ゆるフワな感じのモノばかりになる訳で、地方競馬の騎手だと、それを嫌って雨天用にゴアテック生地(雨合羽用のアレ)で作った“勝負服”を用意するケースもあった訳である。しかも、生地自体がペラペラなモンだから空気抵抗が激しく、レース中の馬への負担も相当な状態で、ラストスパート前にスタミナ切れになることも…
そういった欠点を解消させたのが、現行のエアロフォームである。素材としては水着やドライTシャツに使われるようなモノが一般的で、速乾性と伸縮性に優れ、しかもタイトな姿の型紙で作ることができることもあって、着心地はピタっと生地が吸い付く感じになる。そのため、よりスマートな姿になる訳で、空気抵抗も少なくなった訳である。しかし、欠点として、いわゆる“フリーサイズ”で作るのは難しく、サイズが合ってないと絞め付け感がハンパないw(関西風に言えば、“おは朝”のおき太くん&めざめちゃんの着ぐるみは、中の人が着慣れていないと、エレクトーン横で座ってるうちに、首が絞まって気絶するという状態w)
どちらの“勝負服”にしても、実はもう一つ面白い“お約束”が存在する…それは、襟口や首元をよく見ればわかるが、チャームらしき飾りを付けてる事がある。海外の競馬では、サテン生地の“勝負服”の襟元にはスカーフを巻くのが習慣であり、現行のエアロフォームではそれができないこともあって、下着のハイネックシャツに刺繍を施したり、ネックレスのようなモノを着けるのである。極端に言えば、騎手が“勝負服”のままで“ネクタイ着用”のドレスコードがあるトコに行っても、襟首のチャーム一つで入店・通行できるのである。(とは言っても、競馬場での話だが…)だから、海外の騎手がアクセサリーやスカーフのデザインを手掛ける事はよくある話で、日本でも一部の騎手が自前のグッズを作成し、身に着けているのは、そういうことである。
あ、そうそう、ジョッキーパンツは素材の違いはあれど、基本的には競馬も馬術もほぼ同じ。ブーツに関しても、競馬用は軽量素材で作られているが、基本的には他の馬術とほぼ一緒。だから、一見すると違う種目に思えるが、実は“同じ種目”なのですw(とは言っても、やってることに関しては、スケートで言えばフィギュアとスピード種目、水泳では高飛び込みと競泳みたいな違いがあるけどねw)