迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

鉄火場とアイドル

今でこそ、CMに登場する俳優や芸人をゲストに迎えたレース予想会や、プロレス団体による興行など、中央・地方を問わずに競馬場内でのイベントは多種多様な盛り上がりを見せているが、オイラが知ってる範囲で言えば、これが30年ほど前になると、もっぱら演歌歌手か新人アイドルの営業(主に新曲やアルバムの告知)が殆どだった。ま、地方の場合は今でも、演歌歌手がお昼休みや全レース終了後にミニライブをやって、CDや配信の売り上げアップを呼びかけるが、中央でのイベントは、ミニライブそのものは少ないと思う。しかし、かつてはアイドルが競馬を含めた鉄火場でミニライブをする事自体は、そんなに珍しい方ではなかった。むしろ、遊園地などでの野外ライブなんてのは、結構数多く行われていた方である。
現在のような、小さなライブハウスそのものが少なかった時代において、野外…しかも普段から賑やかな場所でのライブは、貴重なファン交流イベントであると同時に、新たな支持層を開拓する試練の場でもあった。商店街にあるレコード店を巡ってミニライブ(インストアライブ形式)を行う事は、主に商店街を利用する主婦層のマーケティングであり、必然的に男性演歌歌手がメインになりやすい。しかし、デビューからそこそこのものであればともかく、ヒットに恵まれない場合、何度全国行脚を行っても、その分移動経費の方が高くついてしまう。アイドルもまた然りで、いくらレコード会社や芸能事務所が売り込みに必死になってても、支持層がいないと意味がない…そこで、商店街よりももっと集客率が良くて、かつ、幅広い年齢層からの支持を得られる場所となると、昔であれば遊園地がうってつけであった訳であり、また、夏場限定で運営される遊泳施設(もっぱら屋外プール)では、ほぼどこでもプールサイドの一番広いトコにステージがあって、週末になるとアイドル系のミニライブが定番になっていた…が、バブル期以降になると、そういった施設が次々と閉園となり、代わりに注目されるようになったのは、鉄火場にあるステージという訳である。
とはいえ、無名の新人アイドルを、いきなり殺伐とした鉄火場でライブをやらせるのは、30年ほど前だとありえない話であり、通常のステージ衣装でキピキャピやってても、マナーレスな酔っ払いが跋扈する場所では、男性ユニットならともかく、女性ユニットだと、何をやられてもおかしくないぐらいに危険なのは言うまでもない。だから、普段着に近い格好での活動が殆どだったと記憶している。また、アニソン歌手が鉄火場に来る事があるんだが、そういう時は大概の場合、ファミリー向け…要は子供相手のミニライブになりやすかった。オイラの経験上で言えば、一番よく聞くのが、ささきいさおが来場してるケース。本職こそロカビリー歌手であるから、洋楽コピーを歌うのが普通なのだが、“宇宙戦艦ヤマト”のOP・EPを歌ってた事から、ミニライブとなると大概、ヤマトかTV版の“銀河鉄道999”のOPになる。今の40代以上だと、このどちらかの曲は耳馴染みもあるし口ずさむファンも多いから、どこに行っても非常に盛り上がるのだとか。いろんな意味でスベったケースといえば、阪神競馬場森口博子が来てたケースw なんせ、歌った曲が『サムライハート』…感のいい方ならわかるが、“鎧伝サムライトルーパー”のOPである。このアニメ、今でいう“腐女子”には絶大なる人気があったアニメだったんだが、当時の競馬ファンにトルーパー好きの腐女子がいる訳じゃないし、アニソンだからと言って子供が大はしゃぎするタイプじゃない楽曲だった事や、そもそもアイドルファンの競馬バカは少数派だった事もあって、ある意味、場が寒かったw(現場にいて、アニヲタ的に居心地悪いのなんのってw)
まぁ…そういう犠牲の上で、しかもアイドルヲタもアニヲタも、いろんな意味で高齢化してるからこそ、鉄火場にnegiccoだのLin-Qだのがミニライブをやっても問題ない訳であり、また、アイドルと言っても、未成年が鉄火場でのライブをやる事はない。なんせ、馬券が買えない年齢のモンが馬券予想してたら、それこそおかしい訳で…w