迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

NHKの“ヘンチクリン”なプライドの話w

過日、Twitterのフォロワーさんと、NHKに関する雑談をやったんだが、誤解を招かないために自己弁論させてもらうと、同じNHKアナウンサーと言えど、入局時からアナウンサーとして訓練を受け、番組制作に関わっている人と、報道部を含めた他部署からアナウンサーに転職して現在に至る人がいて、それゆえに同じ“NHKアナウンサー”といえど、感覚そのものが全然違う人がいる…この件に関しては、今から13年前に寺谷一紀アナが、NHK退局後すぐに、自費出版に近い格好で著した本“ぼくがなにわのアナウンサー”で、自身の体験談として記載してる部分がある。まぁ…この人に関しては、オイラの本家Blogの解説を一読してもらうとして、今回の本題、NHKアナであるが故の“ヘンチクリン”なプライドに関する話。
ご存知の通り、NHKのアナウンサーは“日本語の使い手”としてのプロ意識が高い。が、それはあくまで、入局時からアナウンサーとして訓練を積んだ連中に多い部分であり、寺谷アナのように、もともと畑違いなトコ(報道含む)から諸般の事情でアナウンサーに転向した人の場合、タマに方言の修正をせずに“暴走”する人もしばしば見かける。(特に関西出身のアナウンサーは、ガチで関西弁で押し通す人がいるからなぁ…w)実は、これが問題なのであり、民放のアナウンサーなら“それも味”として見逃せる部分でも、NHKのアナウンサーは、常に“全国共通”を意識した話口調を肝としてるため、癖の強い方言は、一番“嫌われる”スタイルである。ゆえに、地方局所属で、しかも“地元出身”という事で所属地元言葉で喋るアナウンサーは、正直“絶滅危惧種”的存在であり、地元で愛される反面、全国区として売り出すには、それゆえに“NHKらしくない”と批判される。そのジレンマが常に付き纏うため、どうしてもNHK出身のアナウンサーは、総じて“方言下手”な人が多いように思われがちである。しかし、同じNHKアナウンサーと言えど、デビュー時からアナウンサーとして訓練を受けた連中と、他部署から転向してアナウンス業務を行っている連中では、日本語に対する、全く“正反対”な心情が存在する。それが、方言に関する考えであり、アナウンスの訓練を受けた者にとって、“方言は正しい日本語に非ず”という概念があるが故に、たとえ自分の出身地の局に配属されても、発音上“お国言葉”を封じて喋る事に徹する。相対して、アナウンスの訓練を受けずにアナウンサーへ転向した者は、むしろローカルでやるなら“地元言葉”で喋った方が理解されやすいという、確信にも似た感覚がある…この“ズレ”こそが、NHKアナウンサー達にある“ヘンチクリン”なプライドの“正体”と言っていいだろう。双方の意見は、実は“一番正しい”概念であると同時に、それゆえに“一番間違った”感覚といって過言ではない。
では、真の意味で“正しい日本語”とは何か?こういう話をすると、このブロマガの趣旨から外れる事なのだが、言語学的な事で言えば、“誰に対して話しているか”という部分さえ失念していなければ、俗にいう“標準語”であろうが、“お国言葉”であろうが関係ない話である。だが、日本の教育現場において、“正しい国語力”を学ぼうとすれば、自ずと“標準語”が主体となる訳であり、その“見本”と言えるのが、NHKのアナウンス技術となる訳であり、故にNHKのアナウンサーであれば、徹底した“標準語”としての発音が求められることになる。だから、これを“手本”とした旧来の民放アナは、総じてNHKのアナウンサーに近い話し方を“目標”に掲げて、また、NHKのOB・OGを“師匠”として訓練を受けた訳である。これに対して、真っ向から否定し、“お国言葉でもええじゃないか”としたのが、関西の放送局に在籍するアナウンサー達で、また、そのリード役を果たしたのが、NHK出身でありながら関西弁…特に摂州弁をキーに据えた“関西標準アクセント”を開発して普及させた、生田博巳アナである。この生田アナ自身、神戸出身だったからこそ、関西人なら関西の言葉で話した方がいいと考えた人であり、そこに徹する為に、本局異勤を断った挙句、関西の放送局を転々とするフリーランスに転向した、草創の人である。
まぁ…長々と解説したが、要は同じNHK出身といえど、生粋のアナウンサーと他部署からの転属アナウンサーとでは、同じ“日本語を大切に思う気持ち”があっても、その概念や感覚にズレがあって、それゆえに意見が真っ向から対立したまま、今日に至ってるのが現状であり、ゆえに、自分の出身地の人へインタビューする時に、ついつい“お国言葉”で返そうとして言葉を詰まらせる事がある訳である。(有名なエピソードとして、武田真一アナが集中豪雨に見舞われた熊本の役場職員の肥後弁に釣られて、それを標準語に置き直そうとして言葉を詰まらせたことがある…ちなみに武田アナは熊本出身。)いくら文科省が“方言も日本語”という教育方針の転換を呼びかけても、その手本たるNHKアナウンサーが“標準語”に固執するのは、ある意味仕方ないトコでもあるんだが…