迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

競馬中継の将来性は?

ブロマガ的には、あけおめですw 金杯の日に何やってんだかですが、今年はアナウンサーに関する個別なネタは、控えめで更新する関係上、今までみたいに毎週水曜日深夜更新ではなくなります。(要するに、行き当たりばったり更新に変更ですw)そんな訳で、今回はいきなり重たいネタですいません号ですw
今までの記事で散々やってきた事なんで、今更感もあるかと思うが、競馬実況を行うアナウンサーは、ラジニケに限らず、減少傾向にある。もちろん、地方競馬の廃止も大きいのだが、要するに、後継者不足…というより、後継の人材育成を怠ったツケが、ここに来てジワジワ影響が出始めている。わかりやすく言えば、昔から競馬中継を行っている放送局ですら、外部の芸能事務所や個人経営のプロダクションから、競馬実況ができる人材をアウトソーシング(人材派遣)で賄おうかと考えているトコがあるからである。(ドコとは言わん、そこのオメーらだw)また、競馬実況ができる局アナ自身が、定年を機に籍を外れる事もあって、ここら辺の関係で、バックアップ要員として嘱託職で契約を結んでいても、ある一定までの延長でしかなく、結局、マイクの前から離れてしまう訳である。当然、定年を前にして諸般の事情(大病を患ったり、家族の都合…などの理由)で辞める人もいる訳で、そうなると、他の部署から…という訳にいかないのが競馬実況を行う上では厄介なのである。まして、スポンサーが付く番組であればどうにでもなる話でも、昨今の放送事情を踏まえれば、そういう訳にもいかない…しかし、これは社会全般にも言えた話で、コストパフォーマンス優先で物事を決める事による弊害であり、人材育成に経費が掛かり過ぎるという概念がまかり通ってる以上、どうすることもできない部分である。
実は、この概念こそが一番の間違いであり、今の景気が悪い最大の元凶は、円安でも、原料高騰でもなく、この“人材育成”を疎かにしたツケであり、また、指導者としての中堅が少ないことも、品質の低下を招いていると言っていい。つまり、先人達が築いてきた歴史に対して、それを引き継ぐことを“無駄”と言って切り捨てた結果、本来であれば継続できる事業すらままならなくなってしまった…というのが、今の日本が抱える“病巣”なのです。
競馬実況の場合、他のアナウンス業務以外に、競馬に関する精密な描写が必須のスキルとして存在し、他のスポーツ実況よりも、高度な技術を要します。そのため、単に叫んでるだけのスポーツ実況アナが競馬中継で実況を行えば、視聴者は鬱陶しいだけで、レース内容が伝わらないだけでなく、本当に欲しい情報が何一出てこないような実況は、本当に邪魔なだけです。確かに、テレビの場合だと、映像がある分多少の手抜きができるでしょうが、吉田アナの解説でもやった様に、現場にいてても、コースが見えない場所にいる人にとって、実況だけが唯一、レースの状況を知る手がかりなのです。この概念がすっぽ抜けてる競馬実況アナがいるとすれば、その人は、どんなに杉本アナ以上の美辞麗句をレース中に並べることができるスキルがあっても、競馬実況アナとしては“失格”です。そう、肝心な事はレースの内容を伝えることが“仕事”であり、“職務”であらねばならないのです。杉本アナの実況でも、基本にはラジオでの技能が念頭にあり、そこに、テレビを見てる視聴者に対して、状況把握をしやすいようにするための言葉として、洒落を効かせた美辞麗句を使ってる訳です。その部分に関しては、馬場アナ以下、杉本門下生達が引き継いだ部分であり、それがあった上での実況表現なのです。ここを勘違いしている様では、本物の“競馬実況アナ”として認めることはできません。そういう危機感から、ラジニケでは、基本となる実況の技術を仕込む場として、レースアナ養成講座を設けて、競馬実況アナ志願者を対象に、プロアマを問わず募集をかけてます。それでも、ラジニケの社員として、あるいは地方競馬の実況アナとしてデビューできるのは、ほんの僅か…それだけ、育成が難しいのが、競馬実況アナなのです。
それと同じ様に、テレビの場合だと、カメラマンやスイッチャーの技術も重要になります。特に、実況アナと息が合わないカメラワークは、どんなに素晴らしい実況をやったとしても、映像的にはボツです。しかも、競馬中継に限らず、スポーツ中継の殆どは生放送ですから、いろんな意味で“ぶっつけ本番”です。だからこそ、実況アナの“仕事”を邪魔しない、尚且つ、実況アナの“見落とし”をいかにしてカバーするかは、カメラマンとスイッチャーの腕に掛かってます。グリーンチャンネルの映像でもそうですが、基本的に、実況アナが何を実況してるかを把握した上で、且つ、彼らが見逃した展開を逃さない様に、カメラでレースを追うのです。そのためにも、競馬実況アナとカメラマン、スイッチャーの息が合っていないとマズいのです。どのタイミングでズームをかけるか、どのタイミングで映像を切り替えるか…何度も現場で確認するだけでなく、実践で経験を積む事が非常に重要なのです。しかし…そこをベテランに任せっきりにしたり、コストカットを理由に若手を排除してる様では、後継の育成はできません。本気で視聴率、あるいはリスナーポイントを稼ぎたいのであれば、技術を積んでいく場を阻んではならない…要するに、技能や経験を積む事を無駄と切り捨て、蔑ろにする様な企業は、誰からも相手にされません。今を維持したいのであれば、なおさら、後継の育成は喫緊の課題なのです。