迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

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移籍する者、残る者…

この秋の競馬開催から、ラジニケの“寅さん”こと、米田元気(もとおき)アナが場内実況デビューしたのだが、元々彼は、FTV福島テレビに在籍していて、競馬実況を担当経験がある…簡単に言えば、経験を積んだ上での移籍組である。ま、競馬実況アナとしての活躍の場を広げる為に、中途採用でも正社員として受け入れてくれる様な放送局だからこそ、移籍ができたといって良いだろう。しかし、活躍の場を求めて、放送局を移籍する事は、それ相応の実績を無視して採用する事もあって、移籍する以前と同じ仕事に就けるかどうかは、ある意味運次第でもある。まして、放送局が競馬中継をやっているといっても、実況担当をフリーランスに任せてるが故に実況をさせてもらえない…なんて事もある訳で。

では、競馬実況に限らず、アナウンサーの一部は、他局への移籍をやるのか?もちろん、個々の事情があって一概には言えないが、基本的に、本人と移籍先の事情が一致してると、結構厚遇される事もあり、逆にそうでない場合は、泣く泣く業務変更をせざる得ない。しかし、新卒者と違って、アナウンスの基本ができている事もあって、移籍後から“即戦力”として期待される反面、どうしても移籍前の放送局特有の“癖”が抜けずに、使いどころが限定されてしまう事がある。解り易い事例を挙げると、NHKに在籍してたアナが民放へ移籍、あるいはフリーランスとして民放と契約を結んで仕事を得る場合、NHKでの在籍年数が長ければ長い程、在籍当時の癖が抜けず、イメージが固定されがちになる。逆を言えば、在籍期間が短いと、基礎のアナウンス技術が拙くて、その分移籍先の癖を身につける事があって、元から移籍先に居たんじゃないかと勘違いされるケースも多々あるw 念の為に言っておくが、舩山陽司アナも、元はNHKに在籍してたアナだが、在籍年数が5年未満だった事もあって、今ではすっかり、ラジニケの一員として馴染んでいるが、もしも在籍年数が5年以上で、しかも長年東京アナウンスルーム所属であった場合、癖が抜けるまでにかなりの時間が掛かる事になる。
ただ…移籍やフリー化する事情は、他のアナウンサーと違って、競馬実況をメインにしてる人は、移籍先でも競馬の仕事をやりたい人が殆どで、むしろ競馬を含む公営ギャンブルから足を洗う人は、ごく稀といっていい程。但し、例外があるとすれば、身体的なハンデを理由にする人は、いくら競馬実況をやりたくてもできないし、まして所属局での人事異動等で最前線を離れる人は、明らかな人員不足を意味してる…後日説明するが、倒産騒動で多くの人材を流失したKBS京都はまさにそれで、宮本英樹アナを報道部へ異勤させた経緯を考えると、当の本人は苦渋の選択を迫られた挙げ句、泣く泣く双眼鏡を置いたクチである。(で、久保房郎アナを復帰させたりと、結構迷走しまくったんだがw)
つまり、所属放送局を変える事は、それまでのファンを裏切る行為である以前に、放送局の“裏事情”を把握していないとヤバいのであって、現場復帰を果たした競馬実況経験者は、言ってみれば競馬中継のスタッフ不足を意味してる訳であり、逆に報道やバラエティー系にシフトした者は、フリー化後に、競馬実況だけでは喰っていけないからこそ、畑違いな分野に臨む訳である。まして、視力低下や声帯の異常で辞めざる得なかった実況アナは、それ故に苦労する訳で、競馬以外の仕事もこなせるスキルがある場合はともかく、そうじゃない人は、最前線での仕事は、最初から引き受けられないから、そのまま“引退”という事もある。
逆に、人事異動を理由に競馬実況を引退するのは、平松前市長の様に、実況での大失態をきっかけに、他の分野へ行く事によって、アナウンサーとして生き残る為の選択肢とした訳であり、他の不祥事での懲罰的な人事異動ではない。(某A局のMアナのケースはともかくw)逆に、アナウンサーとしての資質が認められずに、別部署に異勤となる者は、それ相応の失態をやっている証左であり、身体的理由(失明や喉頭炎等)で退社してる人はともかく、今でも在籍していながらマイクの前に座らないのは、そういう理由である。もちろん、本人が希望してその部署へ異勤した場合もあるんで一概ではないが、懲罰的な意味合いで異勤になる場合、それは、重篤な失態を放送中にやらかした事を意味する。セクハラ疑惑やパワハラ容疑を理由に消されるのはともかく、そうでない者が…ってのは、それ故の失態をやらかし、その“批判”をかわす目的で、敢えて最前線での勤務から外れた訳である。以前、努兄のトコでも解説したが、そういう事である。

とはいえ、今後の事を考えると、競馬実況アナが不足してる事は、目で見る以上に明らかな話で、だけど、技術が拙いと使い物にならないが故に、育成が難しい分野といえるだろう。だからこそ、事前に競馬実況ができるスポアナを再雇用したい放送局がある訳であり、また、競馬実況を望んでても、地理的に競馬場が無いが故にできないから…という理由で移籍する事を考えて、アナウンス教室に通い直す人もいる訳であり、そこから競馬実況デビューを果たす者もいる訳である。