迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

競馬を愛する語り部達…vol.12 “エンドレスバカ”と呼ばないで・石巻ゆうすけ

杉本アナ以来のKTVネタが、何故か石巻アナってトコが、オイラらしいひねくれ方だと思うwま、それはともかく、この人の話となると、競馬実況アナになる以前の話の方が有名過ぎて、むしろそっち方面に向きかねない…いや、説明する以上は避けられない話がいくつかある。特に、オイラと同世代の関西人でないと、多分タイトルの意味が通じないと思うし、ましてKTVの歴史の中で、もっとも“お下品”な番組への出演が、まさかの“初泣き”(アナウンサーとしてのデビュー)だったなんて、口が裂けても言えない程の経歴なのですw ま、そこんトコ中心になるかと思うが、ともかく、ブロマガオリジナル版第二弾は、石巻アナの話。

KTVの男性アナは、デビューしてからスポーツ実況を志願する者は、必ず競馬中継の仕事をやるのが通過儀礼として存在する。で、ここで競馬以外のスポーツへ転向するか、それとも競馬のみで没頭するか、あるいはスポーツ実況を諦め報道へ走るか…という岐路に立たされる。後々紹介する馬場アナも、その岐路に立たされた時に他のスポーツとの兼務を選び、のちにF1の実況アナとして昇華する訳だが、本当なら、杉本アナの跡目をついで、競馬専門の実況アナになりたかったのは、ファンであるなら理解できよう。しかし、石巻アナの場合、それとは全く真逆…本当は、他の実況もしたかったのに、競馬実況に固定されてしまった、ある意味不幸な経緯がある。その“不幸”の始まりは、局アナとしてのデビュー時の状況が全てと言っていい。
80年代後半頃は、丁度バブル絶頂期であり、しかもMBSの“あどラン”に刺激されてた在阪民放は、このノリに非常に敏感だった事もあり、各局で“あどラン”に類似した企画をポイポイ作りまくった訳であり、この中には、現在もABC朝日放送で放送中の“探偵ナイトスクープ”も存在する訳である。(意外と古いのよ、あの番組はw)その中のひとつに、KTVで土曜日の深夜に放送されていた、終了時間が出演者のノリ次第というおバカ番組、“エンドレスナイト”というのがあった。この番組、メインMCのばんばひろふみ兵藤ゆき、リポーター役で半年毎に入れ替わるマスコットガール…通称“エンギャル”と、そのサポート役の杉山一雄アナが、最長で夜明け前の午前4時ぐらいまで、制作スタッフを巻き込んでバカ騒ぎする番組として、当時の若者に人気を博した。この時、若者向けの番組なのに、当時40後半の“オッサン”がオイシイ感じで振り回されるのを、苦々しく見ていた若手が、時としてこの番組の企画に殴り込みを掛けて、そのポジションを奪おうと、何度も挑戦する訳だが、結局は番組が終了するまで、その策略は、プロデューサーである上沼真平の掌で踊らされる体裁となったのはいうまでもないw(ちなみに、上沼プロデューサーの嫁はんが、上沼恵美子であるw)
で、その若手の中で、特に目立ってたのが、番組初期の頃から出演してた梅田淳アナと、翌年から登場する山本浩之アナ(便宜上、ここから先は“ヤマヒロ”で表記する)で、石巻アナが巻き込まれるのは、番組スタート時から2年以上経過した頃…伝説の第五期エンギャルが活躍してた頃である。当時、新入社員として真っ当なカタチで紹介するとスタッフに口説かれたのが運の尽きで、今風にいえばチャラ男系のファッションをやらされた事から、事ある毎に梅田アナやヤマヒロと一緒に巻き込まれては恥を掻き…を繰り返した訳である。あ、そうそう、実はこの番組、杉本アナも競馬関連の企画の都合で、何回かは巻き込まれているんだが、馬場アナだけは、何故か出演していない…後々これが、馬場アナと石巻アナの運命を狂わせる事になるとは、この時、誰も気付かなかったのである。
やがて、石巻アナはスポーツ実況アナへを舵を切る事になるのだが、さっきも書いた通り、KTVのアナである以上、競馬中継の仕事は、避けて通れない道…黎明期の頃から存在する大先輩、松本暢章アナや、当時メインレースの実況を担当してた杉本アナのサポート役として、若手の殆どが、ゲートレポーターとして発走地点での取材を経験し、その後、放送中に行われる前哨戦…準メインのレース実況を担当するのが、通常の“研修”である。で、大概のスポーツアナ志願者は、この準メインの実況をやるかどうかのところら辺で、他のスポーツ実況を担当する事で、競馬は“卒業”となるのだが、彼はそれを選ばなかった…なぜなら、梅田アナやヤマヒロと、いろんな意味で一緒にされたくなかったからと推測される。実は、ヤマヒロは競馬実況の経験があるのだが、どうも実況センスがなかったのか、結局スポーツ実況アナとして生き残れず、報道へ向かう事になり、のちにKTVの名物ニュースキャスターへと昇華する事になるんだが、梅田アナはそのキャンキャン声と、桑原征平アナ以上の落ち着きのなさが仇となり、競馬実況をやらせてもらえなかったりする訳である。そんな二人を見ていたからこそ、“エンドレスの三バカ”の異名を返上しようと邁進する事になる。やがてそのひたむきさは、杉本アナが愛弟子として認める程となり、馬場アナが実質上メイン実況に格上げされると、それに付随する様に、馬場アナが他の実況(特にF1)の関係で競馬実況ができない時のメイン担当へと昇格する事になるのです。そう、“エンドレスの三バカ”の中でも、本当は派手な場面で巻き込まれたくなかった彼だけが、競馬実況アナとして生き残ることができたのです。逆を言えば、ヤマヒロにしても梅田アナにしても、社局内での仕事よりも、外注のイベント司会等が多かった事もあって、却ってKTVに籍を残す方が動けなくなると感じたからこそ、彼等はKTVを去ったのです。そして、馬場アナが2009年の桜花賞を最後に競馬実況から引退すると、後輩の岡安譲アナとともに、京都と阪神でのメイン実況アナとして、ファンから認知される様になった訳です。

さて、ここからは余談になるが、石巻アナをフルネームで書くと、名が平仮名表記になる訳だが、これは親が名付けた時に、今でいうトコの“キラキラネーム”表記をやりたかったのに、常用漢字として使えなかった事を理由に、敢えて平仮名にしたんだとか。つまり、成人したのちに、使いたかった漢字が、常用漢字として登録された時点で変更できる様にしてた…という。だから、競馬中継でのテロップでの表記は、読み方が難しいからという事での“マイクネーム”ではなく、正真正銘の“本名”です。 それと、実は学生時代は茶道部に所属してて、デビュー当時も趣味として茶道を嗜む旨を書いていたりします。意外に姿勢がいいのは、その影響かも?!