迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

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競馬を愛する語り部達…vol.10 破天荒なエリートw・草野仁

さて…今回はNHKの競馬についてw ご存知の通りNHKの競馬中継は、基本的に牡馬クラシック(皐月賞・ダービー・菊花賞)と、春秋の天皇賞安田記念ジャパンカップ有馬記念と、冠レースであるNHKマイルC以外のGⅠは中継しないし、普段も競馬に関しては、過度に取り上げる事は滅多にしない。しかし、そんな条件の中で、競馬実況を志した、風変わりなアナウンサーが存在する訳でして、現在だと、札幌放送局(9月13日訂正…どうやら、この7月の人事異動で、神戸を離れた様です。)に所属している三浦拓実アナとか、東京アナウンス在籍の刈屋富士雄アナあたりが有名ですが、そんな中に、この人の存在は欠かせないと言っても過言ではないと思う。そう、“H.B.K(ヒトシ・ボッシュート・クサノ)”…もとい、草野仁アナだ。以前、杉本清アナの部分でもちょこっと書いたが、この人も実は、杉本アナの“愛弟子”の一人であり、故に、杉本アナがKTVから定年・フリー化するまでは、JRA賞や、関連の公式な儀礼での進行役として、よく登場したのである。ま、このネタ自身は本家で、2008年の6月にやったヤツ(http://d.hatena.ne.jp/strayhorse/20080615/1213538074)のコピペなんで、目を流すだけで結構だが…w

草野アナ自身、長岡アナ同様に、生まれたのは旧・満州なんだが、すぐに家族が長崎の島原まで引き上げた関係で、戸籍上では長崎出身。その事については以前、島原素麺のCMで登場した事で、ご存知の方も多いと思う。父親は町医者をやってたらしく、ある意味裕福な生活を送れたようである。それはさておき、幼少期からいわゆる“体力バカ”なトコがあって、勉強よりも身体を動かしている方が性に合ってたクチである。そのせいか、高校では陸上部に所属してたのに剣道部からお誘いがかかった程で、当時の長崎県でも剣豪としてその腕は有名だった。(当然だが、現在剣道二段ですから…w)しかし進学の際、多くの大学がスポーツ推薦で声をかけてたにもかかわらず父親が大反対し、東大以外は進学を認めないとツッパ退けたのである。恐らく、大した学力もないのにスポーツ推薦というズルルールで進学するのは、苦労して医学部を卒業した父親には、許し難いモンがあったと思われる。だからワザと、難関な大学への進学以外は認めなかったのだろう。しかし、一度集中し始めると勉強でも何でも完成度にこだわる性格が幸いし、一発で東大へ入学する事となる。このトコトンこだわる性格が後に、NHKで競馬実況を自ら志願するおバカさ加減に拍車をかけるのはいうまでもなかった。
競馬に魅了されたのは、ハイセイコーが活躍した頃で、そこから競馬実況をやってみたいと考えだす様になったという。しかしその当時、NHKには競馬を専門的にできるアナなんて一人も居なかった。まして、この話の序盤で記載したG1の時(当時NHKマイルCは存在せず、NHK杯というダービートライアルのGⅡ戦)しか出番がないから、通常はスポーツアナとして野球やフィギュアスケート等の実況中継がない限り、お荷物扱いされる状態だった訳である。でも、どうしても競馬実況がしたいと食い下がったので、当時の人事が苦肉の案として、大阪放送局預かりで競馬実況を学んでくる様に指示した訳である。なんで大阪なのかというと…そう、KTVに出向いて、当時注目を集め始めた杉本アナに教えてもらってこいという話になった訳である。当時、このNHKからの“異例の申し入れ”に、KTVスタッフも苦笑いした訳だが、律儀にも挨拶してきたのを見て、先輩の松本暢章アナ等は“NHKのアナウンサーが、普通なら民放などナメて然るべきなのに、ちゃんと挨拶に来るなんて…”と感心しまくり。そりゃ、本人は本気ですから、たとえ相手が民放の関西弁丸出しなアナでも、師匠は“師匠”です。元々武術を嗜む人間だからこそ、礼儀作法も心得たモノ。その態度に応える様に、杉本アナもできる限りの指導をしたんだとか。で、その“師弟対戦”の場となったのが、グリーングラスが勝った1976年の菊花賞。後に彼は、更なる活躍の場を求め、NHKを退局するのです。

さて、いざ退局するといっても、急にフリーになった訳ではありません。完全にフリーになる前に、彼はTBSの契約アナとなって、“おはよう700”のMCに就任したのです。当時は奈良陽アナや見城美枝子アナなどが活躍していた時で、番組進行役として常にスタジオで活躍していました。この事が縁で、現在の“世界ふしぎ発見”のMCがあると考えてくれても構わないかと思います。一見微笑んでる様に見える顔つきが、番組の緊迫した空気を和ませる反面、鋭い口調でレポーターにツッコミ入れたり、時としてドキっとする様な発言をサラっと言い放つ大胆さを持ち合わせた、ある意味“NHKアナらしくない”部分が、民放では魅力的であった。ただ、実はコレには彼の“計算”があって、いきなりNHKでの地位を振りかざして仕事を取るよりも、民放とNHKでは環境がどう違うのかを知っておいた方が今後の為ということで、ワザとTBSに契約アナとして一時的に入社したのです。
現在でも、ヒマさえあったらジムに通ってダンベル片手にトレーニングに励み、体力の維持に努めているせいか、スーツ姿での見た目はオッサン特有のズングリムックリなのに、服を脱ぐと筋骨隆々な姿を見せる。本人に言わせると、鍛錬を怠らないからこそ若く見られるんだとか。某旅番組で、一緒にいる徳光和夫アナと見比べても、その差は歴然であり、特に、旅先での入浴場面では、到底同世代の人とは思えないぐらいの体格の良さは、既に常識の域を超えてますw

さて、今でこそバラエティー中心で活躍してる草野アナですが、実は今でも競馬の仕事に未練があり、中央の馬主資格を得ても満足せず、それが高じて、グリーンチャンネルの“競馬場の達人”に2回程登場し、これが縁で、現在放送中の“草野仁のスタジオGate.J”という公開トーク番組に繋がるのです。