迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

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スポーツアナの職務としての“競馬”

この話は、ある意味、全ての実況アナの“根幹”ともいえる部分の話になるかと思う。ラジオNIKKEI以外の競馬実況アナ…特に、フリーランスはもとより、放送局に在籍しているアナウンサーは、競馬以外のスポーツの実況をやっている人が殆どである。ただ…後日詳しくやる予定の馬場鉄志アナや草野仁アナの様に、最初から競馬実況を志願して放送局に入社(NHKは入局)する人もいるので一概には言えないのだが、基本的に、競馬実況も“スポーツ”のカテゴリに含まれている為、競馬中継を行っている放送局は、研修の一環として、入社したての社員を競馬場へ連れ出すのは、ある種の“春の風物詩”ともいえる風景であるw しかし、本当に競馬実況のプロとして放送局に在籍できる人は、ラジオNIKKEI以外では稀であり、むしろMBS毎日放送KBS京都放送(誰だ?某半島の放送局って言ったヤツはw)の様に、競馬専門のスポーツアナが存在する方が“異端”とも言える訳である。では、なぜそこまで異端児扱いにされがちなのか?

先に結論を言えば、競馬中継以外の実況スキルがないスポーツ実況アナは正直、放送局にとっては、いろんな意味で“不良債権”なのであり、また、プロ野球Jリーグがある地域以外の放送局にとって、スポーツ実況の“専門職”そのものが“無用の長物”なのである。つまり、地方の放送局で、しかもプロスポーツ中継の機会がないと、その存在は不要であり、むしろフリーで多少のスポーツ実況の経験がある人を、期間限定で契約した方が安上がり…という経営上の事情がある。だから、プロ野球の地方開催でも、地元の放送局が放送したくても、どっかから実況アナと放送機材を借りてこないとできないのであり、また、放映権の絡みもあって、独自で放送したくても“できない”様になっている…ま、そこんトコは今後、有料ネット配信という手段があるんで、余計に地方局が中継をやらなくなるとは思うんだが…
閑話休題、では、どうしても実況アナを保持したいと思うならどうすれば良いのか?ここでモノを言うのが、公営ギャンブルの有無である。競馬はもとより、ボートレース(競艇)、競輪、オートレース(競輪のバイク版)の常設会場があり、開催があるなら、そこで実況する事を条件にすれば、一応の“スポーツアナ”としての雇用を見出す事もできる。つまり、通常時は公営ギャンブルを、そして夏の高校野球冬の高校サッカーの地方予選開催時等は、そっちの実況をやってもらう様にしとけば、単なる“穀潰し”にならずに済む…という訳である。
しかし、昨今の地上波でのスポーツ中継が、国際試合以外の中継を減らした事もあり、また、CS放送やネット配信での中継では、局アナよりもフリーランスの方が使い勝手が良い事もあって、全体的にスポーツ中継に適応した局アナは、その数を減らしているのが現状であり、また、活躍の場を見出す為に、スポーツ専門のCS放送へ出向したり、退社・フリー化する人もいる。言ってみると、バラエティー番組に特化した地上波テレビでは、今後、名実況アナが誕生する事は非常に難しいと言わざる得ない訳であり、ラジオの場合は、中継する放送局そのものが限られている以上、雇用の“伸びしろ”がないのが実情である。まして、経営合理化の下に、放送局自体が社員としてアナウンサーを雇わなくなっている事も、腕のいい実況アナの減少に拍車を掛けている。一番顕著なのは、RFラジオ日本であり、競馬実況アナに関して言えば、その殆どがフリーの契約アナであって、プロ野球中継でも、NTV日本テレビ放送網でかつて在籍してた人達が名を連ねている。(もちろん、少数派ですが、自前の局アナもいますが…)

そういった意味では、むしろ移籍であろうが何だろうが、ラジオNIKKEIに来る実況アナ候補生で、実際に競馬実況アナになれる人は、デビュー前から精鋭としての訓練を受けたエリートとも言える訳であり、MBSの競馬実況アナに関しても…特に蜂谷薫アナからバトンを引き継いだ来栖正之アナは、自社の競馬中継の伝統と、専門であるが故の誇りを守ってきた存在とも言える訳であり、そこんトコを理解した上で“社員”として籍を残している事は、ある意味、放送局としての意地とも言える部分である。ま、KTV関西テレビの場合、スポーツ実況志願者全員に、競馬実況をやらせる…という“荒技”もある訳でw