迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

馬主って引き継げるの?意外と知らない相続の話。

今月3日に、“ネコ”や“ウサギ”の冠称馬名で注目されてた馬主さんが亡くなられた…JRAでの規定では、馬主資格所有者の死後、1ヶ月間はそのままで出走が可能なのだが、以後は譲渡先の馬主の名義に変更される。事前に法人化してたり、後継者に指名された親族が引き継いだ場合はともかく、全く別の人が引き継いだ場合、自動的に勝負服が変更になる。

わかりやすく説明すると、アドマイヤムーンの勝負服が途中で“変更”となったのは、元の馬主である近藤利一氏から、ドバイのモハメド殿下がオーナーであるダーレージャパンに所有権が移った為、そこで水色・青鋸歯型・白袖の勝負服から、ダーレーの勝負服(当時の日本法人としての登録は、海老茶・白クロス・白袖・海老茶一本輪)に変更となった訳である。オグリキャップの場合、馬主が変更になっても勝負服が変更にならなかったのは、前の所有者が脱税が因で資格停止になったための措置であり、その後引き継いだ人がそのまま自分の所有馬の勝負服として使用した為に、色々とややこしいことになった訳である。ちなみに、元の馬主である小栗孝一氏自身は、オグリキャップを金銭トレードで手放して以降に中央での馬主資格を取得した為、勝負服が青・黄山菱形・桃袖・赤一本輪にした訳である。

基本的に、日本で馬主になる場合、JRAでの規定では、個人だと、資産が7500万円以上、所得が1700万円以上(新規は確か3000万円以上だったような…)、日本中央競馬会競馬施行規定第7条に明記された者ではない事を条件としてる為、いくら過去に馬主登録をやってても、資産がカラッポになったり、収入が見合わなかったり、脱税やテロ行為等を繰り返す存在であった場合、即座に“資格停止(=剥奪)”となる。さらに、一昔前だと外国人馬主の登録条件が厳しく、日本での定住歴がないと、自分の持ち馬を日本で走らせる事すらできなかった。現在は若干規制緩和され、法人馬主である場合に限って、現地法人としての窓口を日本国内に設けているなら、登録は可能になっている。昔からの“外国人馬主”として有名なのはさくらコマースだが、ここに関してはちょっと色々と“難儀”な説明が必要なので、ここでは伏せておくw

では、馬主が資格を失った場合…特に死亡した場合はどうなるか?この場合は相続を受けた親族が引き継ぐ事ができる訳だが、さっきも記した通り、資産と所得が安定して確保できる事が認められないと、馬主資格を相続することはできない。つまり、いくら馬主の子孫と言えど、富裕層としての分相応な所得と資産がない以上、それはできない訳である。逆に、法人として管理してる場合、代表者が変更になっても、資産と収益が保持されるのであれば、そのままで継続できる訳である。金子真人氏がそうだが、法人扱いになっている為、当人が亡くなったとしても、法人として存続させる事ができる限り、黒・黄鋸歯形・青袖の勝負服が競馬界から消えることはない。

では、“同じ勝負服”を再登録することは可能か?これはオグリキャップの事案でちょっと説明したが、別の人が往年の勝負服を復刻させるには、元となる勝負服を登録してた馬主の許諾が必要となる。継続使用となる場合は、引き継いだ馬主が変更しない限り、同じモノは使えない…が、暖簾分けする格好で類似のデザインで登録する事は可能で、今はなきメジロの勝負服には2種類あって、登記上の区別で白・緑一本輪は共通で、袖が緑単色か緑と白の染め分けになってる訳である。(染め分けが牧場、緑単色が商事)

ちなみに、地方競馬は勝負服の規定が騎手のパーソナルデザインである事が規定にある為、交流重賞で馬主が中央の馬主登録を行っていないと、中央のレースに出走する際、規定の枠色服に変更になる為、こないだのJBC京都では、貴重な“染め分け枠色服”なるモノまで登場した訳で、地方で慣れ親しんだ勝負服じゃない事で戸惑った人も多いのでは?