迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

競馬場へは公共交通機関で…って“言えない”理由。

競馬に限らず、多くのスポーツやイベント会場、さらにはレジャー施設では、できるだけ公共交通機関の利用を呼びかけてはいるんだが、これが全然“守れてない”のは、地域特性も含めた事情があり、一概に主催者や運営を責められたモノではない…が、基本的な話、都市計画における公共交通機関の整備に対して、行政の概算予測が根拠に乏しいデータに則して行われてるトコが多く、それ故に、実際の影響が出てからでないと、対策も何もできないというお粗末ぶりが露呈する訳である。その最たるモノとして実例を言えば、今から48年前に開催された大阪万博での来場者の輸送計画に関する話で、大阪府大阪市に対し、特例として大阪市営地下鉄(現:大阪メトロ)の御堂筋線の万博会場までの延伸を申請したのだが、どういう訳か“その必要はないし、建設費用もバカバカしい”と一蹴されてしまい、結局、阪急に話を持ちかけ、3セクで開業したのが北大阪急行であり、たった半年間で、建設費および相互乗り入れにかかる費用がペイできたどころか、今日まで“日本一初乗り運賃が安い鉄道会社”という異名までついたぐらいであるw (ちなみに、鉄道に関する法律で、自治体運営の鉄道は、当該地域以外への延伸は隣接する市区町村までしかできない…民営化したことで、ここの箍が外れた大阪メトロが目指すトコは、採算が取れる路線の延伸計画の実行とも言われている。)

大阪万博の話を挙げた以上は、他のイベントとかはどうだって話をすると、大阪市内に限って言えば、地下鉄とバスの輸送能力をナメ過ぎた計画がほとんどで、それが大阪市の財政を逼迫させたと言って過言ではない…つーか、もともと大阪市は“市営モンロー主義”ってのに凝り固まってたトコがあって、関西の私鉄に対して市内への乗り入れを尽く潰していった歴史がある。その背景には、民間による都市の乱開発を防ぐのと、鉄道やバス路線の維持を税金(運賃)で賄いたいという魂胆があって、そのためには競合する鉄道会社を排斥し、自前の交通網“だけ”を利用して欲しいという図々しい経営方針だったこともあって、だからこそ、阪急はともかく他の鉄道会社に対して嫌がらせに近いような仕打ちをやりまくった訳である。ま、そのツケとして、この4月から民営化した訳であり、競合する既存私鉄とどう対峙するかは、今後の運営次第である。

さて…では、なんで公営競技や各種イベントで公共交通機関を使えとアナウンスしても、それが徹底されないのか?その答えをざっくりと分析すると、“交通弱者”という概念そのものに関する“勘違い”が、その根底にあると考えていい。では、どんなのを“交通弱者”として捉えるべきかといえば…
  • 現場までの足としての公共交通機関がない
  • 最寄駅(停留時)からの移動が困難
  • 諸般の事情で“使えない”
というのが“理由”でそうなる人がいる訳だが、特に最後の“使えない”には、身障者故に移動の際は特殊な機器が搭載されたモノ(ウェルキャブ車両や動力予備充電器等)を使わないと、現地観戦すらできないという状況の人もいる訳である。また、ルート上、下手に公共交通機関を使うよりも、マイカーで直接行った方が早いとか、ピクニック機材(折りたたみ式デッキチェアとか、簡易日除けタープとか…)を持参するにも、移動時に邪魔になることもあって“使えない”という人もいる。前者の場合は本当の意味で“交通弱者”であり、移動手段そのものが限られるからこそ、致し方ないトコがあるのだが、後者の場合は、いわゆる“健常者”であっても、公共交通機関を使えない“理由”としては、ある意味真っ当な“意見”である。更にいえば、会場までの移動が遠回り&割高運賃になる場合、敬遠されるのも仕方ないトコがある。

逆にいえば、そういった“問題”を解決する策を取っていれば、殆どの場合はクリアできる訳であり、そのための“事前予約”や“パーク&ライド”を推奨してるトコもある。が、これ自体が“マンドクセ”と言ってる輩が多いから、問題が遅々として解決しない訳であり、余計に拗れて御破算となるケースが多々ある。鉄道やバスは、国交相に対して申請したルート以外での運行は禁じられているからこそ、機動力ではタクシー・ハイヤーの方が優位性があるけど、乗車可能人数そのものが限られている上に、相乗りするには行き先が同じでないと難しいトコがある。(一部のタクシー会社では、途中下車清算ができる相乗りサービスを実施してるトコもあるが…)また、バスも路線上の道路によっては、使える車種が限られることもあって、大型バスでの送迎を行いたくても、運行上、制限があって無理な場合もある。(京都競馬場からJR山崎に向かうバスなんて、ほぼ道路幅ギリギリな状態で運行してるから、いつ事故があってもおかしくない…)そして鉄道は、今でこそ高架や半地下(掘割)区間で道路と立体交差して、スムーズな航行を保とうとしてるんだけど、その工事を行うにも、周辺住民との交渉が不可欠であり、また、駅を移動させるにも、駅前の商店街との折衝が難航すると、それだけでも自治体が計画する都市の再開発にも影響が出ることになる。(阪神や京都で、どんだけ近隣商店主が駄々捏ねたやら…)

故に、大型イベント会場や競技施設では、マイカーで来場する不届き者…もとい、“交通弱者”のために駐車場を設けてる訳なんだが、想定してる収容台数が実数より少ないモンだから、また、駐車場から主要幹線道路までのルートが少ないモンだから難儀する訳であり、元からモータリゼーション至上主義で開き直ってるトコだと、近隣のコインパーキングなどに契約交渉して対応に当たることもしばしば。(ま、そんなトコほど駐車料金をボッてますけどね…某球場の近所らへんとかw)集客率を考えれば、本来であれば公共交通機関がもっと便利に使える代物であればいいのだが、そこから漏れてる人にとっちゃ、むしろマイカーで移動した方が便利ってのもあって、この問題は、本当に“難しい”のです。