迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

“記者”というべき?“トラックマン”というべき?

競馬を長年やっていると、他のスポーツを違う感覚で接する機会が増えるのが、いわゆる“競馬専門の取材陣”に関する話。ぶっちゃけ論で言えば、一応専門紙(専門誌)であれ、スポーツ紙であれ、競馬を取材し紙面で報じてる以上は“記者”でいいんだが、大概の競馬新聞の記者は“トラックマン”という名称を使うことが多い。中央だろうが地方だろうが、殆どの専門紙は記者を“トラックマン”と紹介することが多いんだが、スポーツ紙や一般の新聞で競馬を取材してる記者は、大概は普通に“記者”と表記されやすい。この差は一体、何を意味してるのであろうか?

事実、JRA年度代表馬選出の投票は、各メディアに在籍する“競馬記者”によるモノなのだが、“記者”という定義に関しては、実況アナや新聞の編集員も含まれている。(ちなみに“会友”扱いになってる人は、通常は定年後、あるいは依願退職で所属組織から離れた後も、競馬に関わるメディアでの活動をやっている人が多い。)しかし、多くの競馬記者は、競馬新聞…つまりは専門紙の“トラックマン”である。競馬記者クラブの“記者章”(胸に着けてるバッジ)も、デザインは同じでも、専門紙と一般紙(この場合はスポーツ紙含む)、放送関係者(実況アナ)で色が違う。以前にも解説したかと思うが、専門紙(トラックマン)はえんじ色、一般紙(スポーツ紙や新聞の競馬取材班)は緑、実況アナは黄色である…つまり、この色で区別されるため、同じ取材陣であっても、競馬場での記者席などの位置が微妙に違うのである。

では、何がどう違うのか?一番の違いは、競馬専門紙の人事は記者か編集ぐらいであって、一般紙の場合は競馬班から他のスポーツや芸能、さらには社会や政治などといった、様々な分野の記者として振り分けられることがある点であろう。もちろん、専門紙の記者とて、それ故の細かい人事移動(厩舎取材班からタイム計測班になったり、地方競馬専門から中央競馬に移動したり…)はあるが、基本、競馬から離れることは稀である。そして“トラックマン”という名称から御察しの通り、基本はトレセンや競馬場での調教の様子をスタンドから観測し、計測されるタイムを基にレースの予想をやってる訳である。当然、過去の成績から予想を導き出す訳だが、そこに加味して、臨戦過程においての調子を見るために、現場で観測してる訳である。もちろん、スポーツ紙の競馬記者とて、そこは同じ。だが、専門的に取材を行ってるトラックマンと、様々なジャンルを取り扱う新聞記者(この場合はスポーツ紙)では、同じ情報量でも記事に載せるポイントが微妙に違う。だから、同じ競馬記者でも専門紙のトラックマンには、ちょっとクセが強い人がいたりする訳であり、それが一つの要因となって、タレント紛いな扱いになる人もいる訳である。

とはいえ、あくまで“トラックマン”という名称そのものは、オイラの記憶が正しければ、競馬ブックが自社の記者に対して使い始めた言葉だったと思うのだが、いつしか競馬記者全般を指す言葉に変化していったのは事実だし、その中でも明確な線引きがあるのは、新聞記者と実況アナという区別ぐらいではなかろうか。なぜなら、同じ競馬記者と言えど、記事として書くのと、ありのまま実況するのでは、技量が全然違うからである。