迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

競馬場の整備は、田畑と同じw

ホムセンの園芸コーナーでバイトしてると、よくある質問に、“せっかく買った苗が成長しない”とか、“植え替えたのに枯れた…”なんてのがある。拙いオイラの経験上では、考えられる原因の一つに、エアレーション作業をやっていないことが挙げられる。ちょっと聞きなれない言葉だが、競馬場やゴルフ場などで、特に芝生があるトコなら、定期的に行う作業であり、その目的は、過密になった根を適度に切る事で、土中に空気を送り込み、保湿性を上げることである。実はこの作業、農業…特に葉物軟弱系や果菜系の作物をやる上では重要な作業であり、これをやらないと、どんなに水や肥料を与えても、植物は育たないのである。

そもそも、エアレーションってのは、ミミズやオケラといった、地中で生活する小動物が作る小さなトンネル(蟻洞とか)を、人工的に行う作業であり、肥沃な土壌ほどモグラやミミズが多いってのは、その分だけ、土壌は通気性がいい状態になっている事を示す。(言い方を変えれば、堤防や畔が、ちょっとの雨でも決壊しやすいのは、それだけ“穴だらけ”になっている証左w)しかし、長年土地を田畑として使い込んでいると、カチコチな状態になることがある。その原因は、そういった小動物が入り込めないほど、植物の根が密に土と絡みすぎて、水や空気すら通さないほど石化(マイクラ風に言えば、作業台に砂ブロックを4つ集めて砂岩ブロックになる状態)する訳である。そこで、作付けを行う前に、人為的に“田起こし”という名目でトラクターや耕耘機(管理機という小型のもあるが…)を使ったエアレーション作業が必要になる訳である。土地が狭くて人力でやる場合、それこそ備中鍬(歯が3〜4本に分かれている鍬)で、体力勝負な作業をやる訳で、これを行わずに種苗を撒いても、根付くことはまずないw

つまり、適度な水と空気の“通り道”を作ってやることが重要なのであり、それができて、初めて養分や水を根から吸い上げることができる訳である。だから、土壌がどんなに肥沃でも、アリ一匹も生息しない様な土地では、農作物を育てることは、まず不可能だと考えていい。逆に、砂漠の様な環境下でも、条件を整えられるのであれば、どんな作物も育てることはできる訳で、故に古代エジプトでは、ナイル川周辺に田畑を作って、季節ごとの変動を利用して土地の更新を行ってた訳である。また、マヤ文明下の南米高山地域では、年間降雨量が少ないからこそ、様々な工夫を凝らして灌漑用水を確保し、それで作物を育てた訳である。その結果、発達した古代文明の遺構には、鍬や鋤も見つかっている訳であり、如何にして土地の土壌改良をやっていたかが窺い知れる訳である。

話が逸れたんで元に戻すと、イネ科である芝は、生育期、地中に根を平面に広げる習性があり、それが密になり過ぎると、互いに生育阻害をやってしまう訳である。(水と養分、酸素の取り合いが起きてる訳)そこで、管理機に専用のカッターを付けて、路盤表面に切り込みをつける作業を行う訳である。これによって、適度に根が切れて枯れることによって、その分の隙間ができる訳であり、酸欠状態になってる地中に空気を送り込むことで、生育を促すことができる訳である。同じ理屈として、コメを作る場合も、苗代の時点では密植えしてても、水田に植え替える“田植え”を行うことで生育を促すのは、その性質を利用した栽培方法なのである。コレも一種のエアレーション作業であり、密植えでギリギリまで生育した苗は、それこそ乱暴に扱ったぐらいで千切れることは滅多にない。(それどころか、苗箱から取れないw)だから、田植え機にセットする際、苗と苗箱の間にツッコむ“根切り板”ってのが必要になる訳で、適度に根を切らないと、うまく植えられない(機械がうまく掴めないw)のである。また、果菜や観葉植物の植え替え時に、根に付いた土を落とす必要があるのは、エアレーション作業と同じ意味があって、土に絡んでる根を取り除くことで、生育を促せる訳である。もちろん、作物(特にウリ科)や品種によっては、この作業を必要としないモノもあるのだが、葉物や根菜類の場合、植え替えることができないからこそ“間引き”という作業が必要なのであり、コレも一種のエアレーション作業なのである。

随って、根腐れや病気予防の観点からも、この作業は重要なのであり、コレをやってないと、どんなに病害に強い種苗でも、生育不良で枯れるのである。農薬の効き目だって、エアレーションをやるかやらないかで、大幅に変わる訳で…(ry