迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

実況のミスも、時として謝罪行脚になることも…

またまたSNSで…てか、Twitterでちょっと話題になってる、ボートレースでフライング判定(通常、時計の針とタイミングを合わせて6艇一斉でスタートするのがルール)で選手がその後どう行動するかという小ネタがあったんだが、公営競技の場合、そういうのは結構日常茶飯事で、だが、選手・騎手以外にも“土下座行脚”が強要されるケースがあるw それは、実況アナの“言い間違い”である。以前、北野アナの件で触れた“エアエミネム事件”ってのはその中でも際たる失態であり、ゆえに北野アナが双眼鏡を置いたのはご存知の通りである。しかし、そういった失敗に至らなくても、過去のアーカイブ映像を見ると、変な違和感があるモノと遭遇することがある。そう、スタジオで後日、記録用として収録し直した実況に差し替えてあるのだ。

このブロマガで何度も紹介してる通り、ラジニケの実況は、JRAの“公式記録”としての役割もある。そのため、実況中に馬名を間違えたり、フジテレビ風の“煽り実況”であったりすると、途端に“再収録”という事になる。もちろん、レース内容や着順、さらには主催者側などの都合で紛らわしい勝負服が複数あり過ぎて…等といった、実況アナだけの責任ではない事案が殆どなのだが、競馬場やウインズなどの場外にいる人、更に緑茶…もとい、グリーンチャンネルを見ながらA-PAT、または即PATで馬券を購入してる人にとっちゃ、そういう偶発的なミスをも、実況アナの技量不足として批判されるのである。そうなると、ラジニケとてJRAから公式実況業務を請け負ってる手前上、関係各所に対して迷惑をかけた事となるため、必然的に実況を“失敗”した時点で、実況担当者自身が場内を駆け巡って謝罪報告を行わなければならない。なにせ、競馬はギャンブルである以上、金銭取引が介在する訳で、そこで実際の結果と実況の内容が食い違っていたなら、競馬ファンからの非難は避けられない。それ故のトラブルがちょいちょいある訳で、一部の血の気が多いファンから殴られたり、社局のコールセンターに批判の電話が鳴り止まなかったり…っといった被害を受ける訳である。当然だが、ラジニケに限らず、競馬中継を行う放送局なら、よくあるトラブルだ。ただ…ラジニケの場合と違って、他局は公式記録の実況ではないから、トラブルの多くは放送内容に関する苦情なのだが、ラジニケは実況の中身さえも批判の対象になる。だから、失敗は許されない上に、万が一、とんでもない間違いをやらかすと、ほぼフルボッコになる。

だから、実況で重篤なミスをやらかすと、後でスタジオブースに閉じ籠って、実際のレース画像に合わせた実況を収録し直す事になる。実況アナにとっちゃ、これほど屈辱的で惨めな作業はない。もちろん、実況アナ一人の責任ではないケースもある訳だが、最終的には当該レースを実況したアナの“責任”として、収録やり直しとなる。では、実況アナのせいじゃないのに“取り直し”となるケースとは一体何か?それは、音声技術者(いわゆるミキサー)の音量調整の失敗や、天候不順なのに開催を強行したがために、カメラが馬影を捉えきれなかったとか、放送席の回線に不備があって、実際の実況が場内(あるいは場外発売所)に流れなかった…というのがある。特に古い映像のアーカイブでは、そういうケースが度々あって、その度に、当時担当だった実況アナが収録に臨むのである。が、リアルタイムで緊張と興奮に包まれた状況下での実況と、結果を知った上で、かつ、録画映像という“断片的”な情報のみで実況するのでは、実況アナとしてのテンションも全然違うモノになる。だから同じレースでも、リアルタイムとアーカイブで“違う”実況になっていると、記録の上では“同じ”でも、リアルタイムで聞いた実況じゃない分、変な違和感を覚えてしまう訳である。

当然、そういう状況が何度も繰り返されると、流石に鬱になる実況アナも出てくる訳で、それが原因で競馬実況から足を洗う、スポーツ実況アナもいる訳である。ま、本当に自分自身のミスで撮り直しなら半分諦めもつくが、サポート役や回線の都合といった自分以外の要因で撮り直しとなったら、そら誰でも気分が悪いよなw