迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

貿易面からの競走馬に関する話…

この記事が掲載される頃には、米大統領選の結果が判明し、今後のビジョンが示される事になるとは思うが、どういう結果になっても、それを選んだのは投票権を有するアメリカ人であり、その“責任”はアメリカ国民全体が負わなければならない事になる…民主主義ってのはそういうモンであり、それを“否定”するような発言をする輩は、たとえ一時頂点に君臨できても、その先が保証されていない以上、必ず潰れる。とはいえ、“勝負事”とは勝利こそが“正義”であって、敗れた者は賊民扱いされる運命である…どんなに“正論”を述べたトコで。
さて、今回は、今後どうなるかわからん状況のTPP問題に絡んで、競走馬の“貿易”に関する話を一つ…先にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)というモノをさっくりと説明すると、言い出しっぺはアメリカ政府であり、太平洋沿岸部にある国…つまり、日本やオーストラリア、アメリカ、ASEAN地域などの国と地域が、公平に貿易上の取引を行うためのルール作りであり、そのための関税の取り扱いや著作権などの規定の共通化を図るのが目的であり、それ故に各国間での事情で“問題”になってる訳である…とりわけ、アメリカの場合、農業分野はイケイケなんだが、主要産業が工業分野に偏重してる地域だと死活問題となる訳で、ゆえに“TPPは廃案にする”という公約で大統領選が行われたと言っていい。(こういう部分で“自由すぎる”が故に、世界が混乱するんだってば…)では、日本の場合はどうなるかっていえば、全てにおいて心配する必要はない…敢えて言えるのは、どういう結果になったとしても、品質の悪いモノを強引に売りつければ、却って信頼を損なって相手にされなくなるだけの話であり、不当な批判を受けたとしても、愚直なまでに品質管理と高水準な検査体制、そして著作権に関しても、作者自身の胸算用な限りは、それを維持し続ける事でその信頼は揺るがない…まさしく、精進・鍛錬を継続する先にある結果は嘘をつかない。
これは何も、競馬に関しても無関係ではなく、農業として見てる限りでは、国際レースでの結果のみならず、国内でのクラシック戦績や現役時の実績が、種牡馬繁殖牝馬としての価値に直結する事になる訳で、当然ながら、競馬開催がある地域の馬場適性も、評価の対象となる。ぶっちゃけ論で言えば、アメリカの競馬で実績がある以上は、それに似合うだけの箔がアメリカでの取引では付くことを意味するし、フランスやイギリスなどの欧州で良績を残せたら、その分だけ取引額も大きくなる。ここの部分は、TPPに関係なく従来と同じだが、大きく変わるとすれば、導入時の関税が“均一化”される事によって、高額での取引でも、その関税分が生産者、あるいは販売者の懐に入りやすくなるということでもある。つまり、価格に関税分をプラスしたカタチで購買者は支払うけど、同じ“価格”でも、関税として差し引かれていた分が還元されなければ、購買者に値踏みされて困るのは、販売者自身となる。また、農作物は全般的に“自国の農家を保護する”という名目で、関税による“輸入規制”を掛けているため、これが蔑ろになるとなれば、一部の零細農家は潰れるでしょう…ただし、それは、取引価格がデカい家畜や穀物農家に限った話という訳ではなく、今まで国の保護の下で…という我儘を言いまくったトコの話であり、最初から危機感を持って品質管理やブランド力向上をやってきたトコだと、その影響は些細なモノですw 当然ですが、競走馬の取引においても同じで、日本で有数な大規模農場だからといっても、海外では通じません。だから、名前を少しでも売るためには、海外で多少恥を掻くことも必要なのです…ラニケンタッキーダービーで残した“功績”がそうであるようにねw
つまり、自由貿易を謳う以上は、取引相手と“対等”な条件下で行われないと意味がない訳であり、各国とも得手不得手があるからこそ、様々な分野での交渉が多岐に渉って行われていた訳であり、それを“なかったこと”にして決裂させるか、それとも“今後も”交渉し続けて明確なルールを確定させるかは、この場合はアメリカ次第だってことである…さて、この先どうなることやら。