迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

Shin's Barへようこそ 2016ニコニコ本店 第三夜

シン(以下シ):4年に一度の祭典、オリンピック・パラリピックも終わっちゃいましたね。次の開催地は東京…果たして、無事に開催されるのかどうか。
(カランコロン…)
おっと…ようこそ、Shin's Barへ。
たー坊(以下隆):あんちゃん、悪いがウッドフォードリザーブハイボール…いや、ミントジュレップで。
ハルトラ(以下ハ):ワイも同じの…頼むわ。
シ:かしこまりました…ソーダにしますか?それとも天然水にしますか?
ハ:あ、そうか…供する店舗によって、同じモノでも作り方が違うんか。
隆:俺は水でエエで。炭酸で作るのもエエねんけど、香りや酒としての味を楽しむなら、下手に炭酸効かせるよりも、美味い水で作った方が、違いがわかりやすいんや。
シ:では、チャーチルダウンズ公式のスタイルで作りましょう。
ハ:ケンタッキーのバーでも、使うバーボンや割材が微妙に違うんかいな?
隆:そりゃそうやろw バーテンによって、その配合や供するグラス・カップ類を変えるのは、よくある話や。ここのはコリンズグラスやけど、ハイボール風に作るトコやと、冷コーで使う様な銅のマグカップで供するトコもあるんやで。
シ:ケンタッキーダービー当日に、チャーチルダウン競馬場で供されるミントジュレップは、たー坊さんが注文されたバーボンで作るのが公式ですからね。ですから、これが“オリジナル”ということになります。グラスにフレッシュミントとシュガーシロップ(またはグラニュー糖)を入れて軽くつぶしながら香りを立たせた後、クラッシュドアイスで満たし、バーボンと水を2:1で割る…初夏の競馬観戦をしながら、ゆっくりと楽しむのが本来のスタイルです。
ハ:ほな、オールドファッションと同じ様な、自分の飲みたいスタイルで飲む、バーボンカクテルって訳やな。
隆:せやから、自分好みのバーボンで作ってみるのが、ミントジュレップやオールドファッションのエエとこや。せやろ?あんちゃん。
シ:そうですね。だから、ハイボールスタイルのミントジュレップも存在する訳で、この場合は日本だと、もっと手抜きできますからねw
隆:ま、察するに、ラムネやサイダーで作る方法やろ。アレやと、確かに安いバーボンでもいい感じに作れるんやけど、甘すぎて悪酔いしかねんからなぁ…
ハ:でも、なんでバーボンと競馬が結びつくんや?
シ:それは、ケンタッキー州自体が、アメリカ最大の馬産地であると同時に、一大穀倉地帯であるからです。ケンタッキーダービーの季節は、大麦やライ麦の収穫期…日本流に言えば麦秋の頃であり、バーボンそのものは、とうもろこしをベースにして仕込むウィスキーです。ウィスキーそのものの技法自体、本来は大麦を大量に使って仕込むモノですが、土地柄上とうもろこしの方がよく育つため、それをベースに仕込んだら、非常に美味い酒になったから、現在では世界中で愛されるウィスキーとして認識される様になったのです。そして、大麦やとうもろこしは、草食家畜…特に馬や牛の飼料としてもよく使われる穀物ですから、決して無縁とは言えないのです。
隆:ま、穀倉地帯になる様なトコと馬事文化はリンクしよるからな。欧米諸国で競馬以上に乗馬の大会が盛んなんは、それだけ馬と生活が密接な環境の下で歴史が築かれた証や。
ハ:そういったことを踏まえると、日本の馬事文化そのものは、まだまだ未熟やってことかいな。
隆:それはちょっと違う…日本にも、日本独特の馬事文化っちゅうのはあるんやけど、日本は“乗馬の文化”やないさかい、乗馬が普通な諸外国から見たら異質に映るだけのこっちゃ。
シ:岩手のチャグチャグ馬ゴとか、宮崎のジャンカン馬踊りとか、どちらかといえば“曳き馬”ですからね。もちろん、下鴨神社上賀茂神社の競馬(くらべうま)神事とか、相馬野馬追というのもありますが、歴史的な部分を見れば、五穀豊穣を願うことと、家畜…特に馬に対する感謝の意味合いが強いのが、日本の馬事文化に多いってことでしょうか。さて、今宵のサービスの一杯を…オールドファッションの変化版で、オールドファッショングラスに蜂蜜…そうですね、ここではオレンジの蜂蜜を使いましょう。これを大さじ2杯ほど入れて、アロマティックビターズを一振りし、大きめの氷を入れたら、そこにお好みのバーボンを45ml注いで、スライスオレンジを添えれば…ハニーオールドファッションです。最近、蜂蜜入りウィスキーが流行ってる様ですが、もしそれで作られるのであれば、できればオレンジジュースで割るのはいかがでしょうか。バーボンは、柑橘類との相性がいいので、試して損はないと思いますよ。