迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

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オリンピックとパラリンピックでの馬術の違い…

明日から身障者のオリンピック…リオネジャネイロパラリンピックが開幕する訳だが、通常のオリンピックとパラリンピックでは、競技種目に大きな変化が幾つかある。それは身障者であるがゆえに、そのハンデに合わせた階級分けが行われていることと、ハンデの程度によってはガイド役を同伴して参加することができることである。また、種目によっては通常の競技と違って、通常のゲームより身障者向けに簡略化してる部分がある。例えば、サッカーの場合、通常のゲームは1チーム11人だが、7人制は脳性麻痺、5人制は視覚障害が対象となる。また、フィールドの広さに関しても、7人制は通常より少し小さめの、5人制はフットサルコートが使われる。(詳しくは、こちらのサイトから検索されたしw)
もちろん、競技によっては健常者同様のルールを用いるモノもある…その中の一つが馬術である。といっても、通常の馬術なら障害飛越競技クロスカントリー競技が存在し、結構派手なモノだが、パラリンピックの場合は、さすがに鞍上が視覚障がい者であったり、神経麻痺や脳疾患(脳梗塞や外傷性脳出血など)による肢体不自由者が競技対象者となるだけに、落馬事故を起こしやすい総合馬術障害馬術は行われず、馬場馬術…ま、スケートのフィギュア競技みたいなのが競技種目として取り扱われるのである。(総合馬術は馬場と障害の総合評価で競う競技だが、障害飛越競技は、正確さとスピード勝負…クロカンはその延長線上にあるw)つまり、事故による更なるハンデを負わないよう、落馬しても比較的安全な種目である(=スピード競技ではない)馬場馬術のみの勝負ということになる。
さて、“馬場馬術”というモノがどういうのか解りづらいかと思うんで、ざっくり解説すると、さっきも出てきた、フィギュアスケートやシンクロナイズドスイミング、新体操などと同じようなモノで、人馬一体となって正確に、かつ優雅に決められた馬場内で、決められた技能を披露するのが基本。で、規定演技をこなす“チャンピオンシップテスト”と、各自が選んだ楽曲と演目を組み合わせて行う“フリースタイルテスト”と言われる二つの競技の総合得点で勝敗を決める。実はこれ自体は、通常の馬場馬術でも同じことが行われる訳で、競技の見た目は正直、地味である。が、派手さがない分、競技者自身の腕が一番試される競技であり、“チャンピオンシップテスト”での技能があってこそ、初めて“フリースタイルテスト”でも、その真価が問える訳である。
今回は他の人が代表として出場してるが、4年後の東京大会で、おそらく元JRAジョッキーの常石勝義が、その舞台に立ってる可能性はある。レース中の落馬事故で、後遺症として高次脳機能障害が残り、騎手としての生命が断たれたが、それでも“馬に乗りたい”という思いから、障がい者乗馬に本格的に取り組んでいる。同じように、馬術競技を通じて“もう一度大舞台へ”と励んでいる元JRAジョッキーには、石山繁高嶋活士もいる…いわば、競馬の騎手としての道が絶たれても、馬と共に生きることを選び、その希望の先に4年後の東京パラリンピックがある。だからこそ、身障者になった今だから、単にリハビリで乗るのではなく、アスリートとしての誇りをかけて、戦っているのです。そういう背景を知った上でパラリンピックを見て欲しいし、もっと言えば“身障者だって本気になれば一流アスリートとして活躍できる”ということを理解して欲しいですね…ハンデがあることが不幸ではなく、五体満足なのに困難に正面から挑まずに逃げてる方が、よっぽどだと。