迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

札幌ドーム問題と自治体の“皮算用”

昨日、北海道日本ハムファイターズが札幌市内で新拠点を構える計画があるという報道があった。今の拠点である札幌ドームの賃貸料が、札幌市の都合で値上げされ、それをチケット代などに転嫁せざる得ないことと、それ故に、球団運営は毎年赤字で、親会社の日本ハムから“広告費用”という名義で補填を受けているとのこと…これが何を意味してるかといえば、その費用が嵩めば、親会社が“身売り”を考え出す可能性があるということであり、また、施設の運営母体である自治体が、ある意味不当な賃借契約条件を突きつければ、その影響で“最悪な事態”を招きかねない。これ…公営競技でも同じで、施設が自治保有で管理してる場合、主催者である競技組合や企業・団体は、開催の度に施設の賃貸料や使用料というカタチで、収益の一部を納付しなければならない。この収益が、当該自治体の税収の補填となる訳で、収益が大きければ大きいほど、当該自治体の図々しさが露呈することになる。
沖縄の米軍基地問題でもそうだが、本質的には米軍が“完全撤退”されると困るのは基地や関連施設がある自治体であり、沖縄県全体の産業や経済基盤を考えた場合、米軍基地運用以外の代替案がない以上、難しいのは言うまでもない。この理屈を無理矢理北海道に置き換えた場合、自衛隊の駐屯地がやたら多いのは、ロシアに対する牽制もさることながら、駐屯地の数だけ経済基盤が確立する訳であり、人口以上の税収を見込めることが背景にある。つまり、国や当該組織からの税的補填が大きいからこそそうなる訳であり、そこに所属してる者が、全員“変態”という訳ではない。仮にそうであった場合、そのまま“隔離施設”として流用すればいいだけであって、外部との接触を避けるようにしたら、大概は解決する。
閑話休題…つまり、札幌市としては、Jリーグプロ野球の公式戦での収益が、他のイベントよりも興行的に繁盛してるからこそ、コンサドーレ札幌や日ハム球団に対して“もっとよこせw”と言ってる訳であり、コンサや球団側としては“ふざけんな!!”ってことになってる訳である。裏を返せば、札幌市の財政が人口の割に潤沢ではない証左であり、無茶苦茶な都市整備事業などをやってるツケを、収益が見込める事業でどうにかしようと躍起なのであると考えていいと思う。だが、あまりにえげつないことを自治体がやれば、優良企業ほど撤退するのは言うまでもなく、余計に財政悪化を招きかねない。
公営競技もまた然りで、収益が見込める間は文句言わないが、少しでも収益が振るわなくなると、途端に廃止を考える。まして、収益の殆どを、なぜか“使途不明金”として取り扱ってることが多い。本来であれば、さらなる収益を見越した施設の更新や、周辺地域のインフラ整備に使われないとおかしいのに、大概の場合は公用車や役場内の設備…しかも大概が装飾品の購入に使われるのである。一番“不要不急”な部分に対して、これでもかと贅沢してるようじゃ、まさしく本末転倒である。もっと言えば、施設の運用に関しては、主催者や管理事業者が工夫を凝らして“使いやすい”環境にすべきであって、そうなれば別次元で税収が見込めるようになる。その具体例であり、良きお手本となっているのが、仙台市民球場新広島市民球場…コボスタ宮城とマツダZOOMZOOMスタジアムである。正式名称こそ“市民球場”という名前だけあって、所有権はコボスタは仙台市、ZOOMは広島市である。しかし、施設の運営や管理は楽天や広島球団に委ねられていて、施設内でのテナント毎のイベント等も、球団側に利益が出ることが前提で、設定が自由になっている。だから、観戦チケットの販売に関しても“お得感”満載なパッケージができる訳で、さらに、球場そのものが企業によるネーミングライツ(命名権)によって、自治体には一定の収入が得られ、しかも税金を使わなくても施設の管理を球団側が引き受ける契約をしてるから、公式戦で使わない際に一般市民へのレンタル(イベントや草野球の試合での使用)も、格安で出来る訳である。(さらに言えば、一応、広島カープは名義上“市民球団”ですからw)実のところを言えば、関西にも同じ事案で存在していた(?)球場があった…今は阪急西宮ガーデンというショッピングモールになった西宮スタジアムである。阪急が球団(檻牛の阪神…もとい半身)を所有してた時の本拠地で、実際は阪急電鉄の所有物だった訳だが、実は公式戦が無い時は競輪場であった…というより、競輪場としての役割の方が主であり、公式戦はあくまでオマケ程度だった。しかし、本業である鉄道事業での業績不振から球団の身売りを行い、競輪だけで稼ごうとしたら、実はそっちの方が業績で足を引っ張ってたことが判明し、主催者である西宮市や兵庫県と協議した結果、兵庫県から競輪の火が消えたのである。(こういう部分では、先に甲子園競輪を廃止に追い込んだ阪神電車の判断は正しかった訳だがw)そういう反省もある影響で、実は阪急は競馬に関しては積極的であり、ゆえに阪神競馬場園田競馬場に向かうファンに利便性がいいように、ダイヤや駅の構造が、いわゆる“競馬シフト”なのである。(ま、園田駅の場合は、優良列車の待避駅としての名残なんだが…)
要するに、自治体としては地元におカネを落としてくれる“金の雌鳥”な訳で、だからこそ本来であれば、様々な優遇を行ってやるべきなのだが、一部の市民団体がそういったことに対して、猛反発することがわかってる自治体では、むしろ泣く泣く“無茶振り”する訳である。