迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

海外での競馬が廃止になる背景…

日本での競馬…というよりも、公営ギャンブル全般で存廃の論議がある様に、海外でも、競馬に関しては、同様の問題が存在する。一番身近なトコで言えば、イタリアの競馬が国家財政破綻危機の煽りで廃止になるかも…という話があったり、アメリカでは西海岸エリアを中心に、いくつかの競馬場が既に廃止になっている。もちろん理由として、競馬興行を行うにあたってのコストがバカにならない事や、競馬ファンが減った事、そして、大概のギャンブラーが、チンタラ時間が掛かる競馬よりも、四六時中張り付いていられるカジノマシン(スロットやパチンコ等)の方が、短時間で効率よく稼げる…という風潮があるからだ。しかし、もっと困った話をするなら、競馬そのものを“動物虐待”として目の敵にする、どうしても明後日な方向に思考が傾いた連中が、事を余計に拗らせているのも、海外での競馬に対する風当たりが悪くなる一因にある。特にイギリスの場合、英国王室が“競馬好き”という伝統が気に喰わない連中が、事ある毎にグランドナショナル(障害レースの最高峰)やロイヤルアスコット(アスコット競馬場で行われる英国王室主催の競馬祭w)が、開催中止や順延に追い込む事がある。(グランドナショナルの場合は、更にアイルランドとの紛争によく巻き込まれる…)たとえ歴史あるレースであっても、開催スポンサーが動物愛護団体を名乗る不逞の輩に脅されて降板したり、スポンサーのオーナー自身が競馬に興味がなかったり、ルール等が全然わかってなかったりすると、いきなり距離や施行競馬場、出走条件の変更等をやっちゃうモンだから、日本みたいに毎年、キチンと行われるかどうか怪しい事もある。
日本の様に国営・公営でやっている場合、競馬施行のルールとかは、ほぼ日本と同条件だったりする訳で、国家財政や主催自治体の収益が、開催コストに見合わないと判断されると、それを理由に廃止になる事が多い。が、アメリカやイギリス、フランス等の様に、国や自治体が直接管理せず、民間企業に任せているトコでは、むしろ興行主の懐具合で存廃が決まると言って良い程で、どんなに収益が良くて、ファンから支持される程の人気があっても、本業の業績悪化を理由に廃止になる事は、よくある話である。つまり、あくまで副業として競馬場の管理・運営を行っているという態度でしかないトコでは、競馬よりも魅力があり、収益が見込めるアテがあれば、そっちへ軸足を向けてしまう訳である。
特に、昨今のアメリカ競馬が、短距離路線に特化してる背景には、結果判明までに、スタートから3分もかかる中長距離のレースよりも、およそ1分足らずで決着がつくマイル未満の短距離の方が、レースに集中しやすいのと、動物愛護団体からのクレーム…早く走らせる為に馬の尻にムチを入れる事に対して過剰な抗議を起こされるのが面倒臭いからである。もっと言えば、障害レースに関しても、飛越の際にバランスを崩して落馬したり、着地に失敗して転倒して予後不良…となる事に対しても文句が多いため、海外の競馬では、レース中にムチを使う回数の規制等が存在する。日本人騎手が海外のレースに騎乗後、何故か“騎乗停止”のペナルティーを喰らうのは、実はコレが原因で、むしろ海外の騎手が日本で賞金の荒稼ぎに勢を出すのは、競馬施行に関する法律の都合で、上位(確か8着までだったかな?)に入線した馬に騎乗してると、着順に応じた“騎乗手数料”が支給される仕組みになっていて、しかもムチの使用制限が事実上“解禁”となる為、短期免許取得に躍起になる訳である。
したがって、日本の様に国(農林水産省)や自治体の管理下でやってるのと違って、いろんな意味でエンターテイメントの一環としてやってるトコもあれば、UAEの様に国際取引の商談会的な意味合いがあるトコもあって、その“主となる目的”に支障があると見做されると、競馬ファンがどんなに存続を呼びかけても、廃止に追い込まれてしまうのが、海外での競馬の事情と言って良いだろう。また、日本以外のアジア地域で競馬が行われているトコは、その多くは植民地時代に開設されたトコであり、いわゆる“白人文化”のひとつとして存在してる訳である。日本の様に祭礼のひとつとして競馬を行ってるのは、おそらく、モンゴルのナーダムぐらいではなかろうか?ま、そもそも、西洋競馬は乗馬の延長線上にある競技であり、スポーツのしての意味合いが強い。だから、どうしてもスポーツとしての知識が必要であると同時に、手軽な“ギャンブル”として昔から存在してたからこそ、世の東西に関わらず、馬がいる地域には、それ故の競馬が存在する訳で…