迷馬の隠れ家〜別館:ブルマガバックナンバー〜

こちらは、2019年まで展開していた“ニコニコブロマガ”の保管庫です。

ファンファーレと入場曲の話。

先月の阪神開催に、陸上自衛隊第三音楽隊による“オリジナルファンファーレ”が第9Rと第10Rで演奏された訳だが、いずれの楽曲も阪神競馬場がある宝塚市の60周年と、宝塚歌劇100周年を記念して、原曲の“すみれの花咲く頃”(9R)と“鉄腕アトム”(10R)をモチーフにした楽曲になっていた。選曲のセンス、アレンジ共に、様々なクラシック楽曲を演奏してきた陸自の音楽隊の腕の良さが出ている。しかし、普段使いのファンファーレを変更して、競馬ファンがそれで盛り上がれるか否かは、ある意味、演奏を行う音楽隊の腕なトコがあり、まして、野外での演奏は、コンサートホールの様な残響がない分、リズムの配分が難しく、あまり早い調子の楽曲は、何を演奏してるか聞き手に伝わらない事もある。まして、去年の宝塚記念で行った“ザ・チャンピオン”の生演奏は、現場で聴いてたからわかるんだが、途中で音がズレた感じに聞こえたのは、ドップラー効果による影響なのはいうまでもない。

つまり、馬場入場の楽曲を生演奏で行う場合、どんなに腕のいい音楽隊であっても、音のズレそのものはどうする事もできない部分であって、そこを割り切った上で評価すると、キチンと原曲の楽譜を演奏して、その上で演奏する音楽隊が、どのようなアレンジを加えたかと考えて批判すべきであって、そもそも論として場の空気を踏まえた演奏であったなら、その努力を認めてナンボである。逆に、自分の思い通りの演奏ができたとしても、演奏してる場所と雰囲気を踏まえず、独り善がりなパフォーマンスを行えば、どんなに著名なアーティトであっても、批判されるのは当たり前である。(ま、その酷い例が、コレの一部にある訳で…w)

さて…競馬に限らず、スポーツイベントを盛り上げるのに、ファンファーレや入場曲による“音の演出”は、非常に重要な役割がある。相撲においても、いわゆる“打ち出し太鼓”は、様々な場面で打ち分ける事で、観客や役員に対して指示を出している。つまり、その太鼓のリズムや音の大きさによって、競技の開始と終了を告げたり、また、協議会を行う為の招集を意味する場合もある。(ま、今年の超会議で、大相撲超会議場所を実際に観戦された方なら御存知かと思うが…)同じ様に、プロ野球Jリーグ等のプロスポーツ競技には、それぞれのチームの公式応援歌や選手別の入場曲がある。(ちなみに昔、阪神タイガースの公式グッズに“Sound of 甲子園球場”なるアルバムがあったの、ご存知? )これらの殆どは、既成の楽曲を選手がチョイスしたり、球団やマネージメントを行っている業者がアーティストに依頼して制作してる事が多い訳だが、公営ギャンブル…特に競馬において、その昔は、オリジナルの楽曲による馬場入場曲やファンファーレを使う事の方が稀であって、殆どの場合、クラシック音楽の一小節をアレンジしたモノや、著作権が切れた楽曲を使用していた。これは当然、著作権に関する問題をクリアする為もあるが、基本的に、今の様に自作楽曲を作れる程の余裕がなかった事も影響してると同時に、競馬に似合う楽曲は、非常に限られていた事も影響している。中央競馬でも、現在のファンファーレに移行する前は、他の地方競馬と同じ様に、軽騎兵カルメン等の楽曲を使っていた。現在、中央で使われているファンファーレは、基本的に21種類あって、開催する競馬場に合わせたのが15種(一般・特別・重賞×5)、障害戦が2種(J-GⅠ用含む)、GⅠ専用が3種(宝塚記念専用含む)存在するのは、競馬ファンならご存知の通り。また、馬場入場は基本的に2010年から変更になって、東主場・西主場・第三場で分類される様になった訳だが、一部のファンからウケが悪く、ここんトコのGⅠ競走の一部で、“ザ・チャンピオン”(関西GⅠ)と“グレードエクウスマーチ”(関東GⅠ)を復活させている。いずれの楽曲も、競馬ファンから非常に人気が高かった事と、いかにも“馬の祭”を楽しむぞといった雰囲気にさせる楽曲であった事が大きい。(次の動画にあるのは、2009年まで実際に使用された楽曲…当時はこの8曲であった。)

ちなみに、“サラブレッドマーチ”は、オリジナルは渡辺岳夫の楽曲なのだが、関西の特別戦の入場曲に“格下げ”になった際、鷺巣詩郎のアレンジ版に変更になったのは、ファンならお気付きかと思うw

同じ楽曲でも、編曲が変わると、こうも雰囲気が違ってくるのは面白い話ではないだろうか。
あ、そういえば、オリジナルファンファーレといって忘れてはいけないのは、やっぱコレですよねw

ちなみに、あそこで静態保存されているパノラマカーは、名鉄からの無償譲渡だったのだとか。